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主人公の宮路。29歳で無職。自称(?)ミュージシャンだがギターも歌もずば抜けて上手いわけではない。しかし親から毎月20万円の仕送りを受けていて生活には困らないので、本気で音楽で食っていこうという気持ちも仕事に就こうという気力もない。大丈夫なのか? この男。 会話の口調は妙に上から目線で、自分勝手な言い分をずけずけ言う。大丈夫なのか?宮路。 しかし老人ホームで無理やり頼まれた買い物の品選びには、やたらと手間暇かけて、当人の好みに合いそうなものをあれこれ悩んでチョイスしたり、面白い本を、と頼まれれば、10冊もの本をまずは自分で読んでから渡す本を決めたり、自分は未経験のウクレレを教えてくれと頼まれたらわざわざウクレレを買って練習してまで教えたり、意外といいところあるではないか宮路。さんざんこきおろされていた水木のばあちゃんの最期の手紙に背中を押されて、人生の時計を前に進めることを決意したはいいが、手あたり次第の求職活動は面接で38連敗。さぞかし世間の荒波と自分の甘さを思い知らされていると思いきや、なぜか妙にポジティブな宮路。 やはり大丈夫なのか? この男!?
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古事記って、因幡の白兎とか海彦・山彦などの有名なエピソードくらいしか知らなくて、通して読んだことはなかったのだけど、物語性のあるお話はところどころに挿話的にあるだけで、あとはひたすら神々や古代天皇の系譜が書き連ねられているのだね。 昔の神々って、体の一部や排出物から次々に子が生まれて、まるで細胞分裂で増殖するアメーバーみたいではないか! 行動も極めて乱暴で、戦を仕掛け、狼藉を働き、殺しを繰り返す。なんとも非道な存在である。 神武天皇以下の天皇の系譜ではさすがにアメーバーから人間に近くなっていくが、一夫多妻制の下、次々と子をなして増殖して、殺し合いを繰り返すというのは同様である。 最後のところは連綿と続く人の名の羅列を惰性で読み流していく感じ。原著者の太安万侶もなんとなく惰性で書き連ねた感じで、最後は唐突に終わった。 池澤氏の序文によると、古事記は天皇家の権威を神話として補強するためのツールとして、持統天皇の命のもとに編纂された極めて政治的な書物だとの解釈。これだけの系譜を調べ上げて書き残すのは当時としては大変な労苦であったろうことは察せられる。そんなもんで最後は安万侶さんも飽きてきてしまったんだろうか? いやはやご苦労様。読んでいる方もちょっと苦行的な読書になってしまった。
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前巻は、隆治が外科医として大きな挫折に直面して終わったことから、次はそこから立て直して一段成長するプロセスに入るのかと思っていたら、まさかまさかの時を遡って医学生時代のエピソード。 このときから隆治は常に悩んでいたのだね。指導医の中にも、田村教授のように厳しいけど尊敬できる医師もいると思えば、人としてどうなんだい!? と思うような人もいるもんだしなぁ。 医学部に入るための厳しい受験を突破しても、一割の人は途中で脱落して医師になれないという現実は、さもありなんとは思うのだが、伊佐のように成績は優秀なのに、6年生の半ばで、「自分には向かない」という理由で辞めてしまう人もいるのかい? おじさん的な考えでは、医師にならなくても、とりあえず資格だけは取っとけばいいのにと思うが、そこは打算を許せぬ若さ故なのかな。 ここで学生時代のエピソードを挟んだということは、次の巻ではひょっとして、伊佐や真子、エミリなどが登場するような展開があるのだろうか?
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最初の章の井村直美、自分の現実にイライラして、友人の伊織を妬んでかなりイタい展開。伊織さん、とてもいい人だと思うんだけどなぁ。そして直美の旦那さんが若い頃立ち寄った喫茶店って、あの虹の岬の喫茶店だよね!! で、次章の今井洋輝の婚約者(のち奥様)のカッキーって、あの昭和堂の柿崎店長じゃぁないですか!! いやぁ幸せになったんですなぁ。よかったよかった。 って、本筋とは別のところで、盛り上がってしまった。 昔、なんだか、気持ちがモヤモヤしているときに、交換日記とか、喫茶店に置いてある自由ノートなどに書かれた、他の人の書いた文に、触発されて気持ちが盛り上がったようなことがありました。水曜日の手紙って、手紙を使った交換日記みたいなものだよね。若い頃の夢って、かなえることのできる人って、ほんの一握りで、ほとんどの人は、どこかで、現実との折り合いをつけてある意味平凡な日々を送っているものだろう。そんなもやもやした気持ちの時に、他人の書いた言葉に少しばかり背中を押されることって確かにあるなぁ
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雨野先生もドクター4年目。大分、頼もしくなってきました。 過酷な多忙ぶりは相変わらずですが、それでも少し余裕が出てきたためか、本作では登場人物のプライベートの場面にも触れられていました。 前作で正式におつきあいを始めたはるかちゃんとの距離も随分と縮まり、実家に一緒に連れて行くまでになり、ほとんど婚約者状態。お墓参りや雨野先生のお母さんとの接し方に、はるかちゃんのやさしさがにじみ出ていて、結構いいカップルになっていますね 先輩の佐藤先生は渡米する恋人から、医師を辞めてついてきてほしいとプロポーズされて悩んでしまう。女性外科医を続けることの難しさにスポットがあたった形。苦い決断をせざるを得なかった佐藤先生にこの先の幸あれと願います。 そして、癌で余命幾許もないのに明るく振る舞う葵ちゃん。アフラックのCMに出演していた山下弘子さんを彷彿します。最期については描かれていませんが、余命を思う存分前向きに生きることができたと信じたいです
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シリーズ第2作 研修医から新人外科医となった雨野隆治の奮闘が続く。 いやはや、本当に外科医の勤務の苛烈さは凄いものだわ。一体、この人たち、一日にどの位眠ることができるのだろう? 今回は、手術の失敗、患者の家族の怒声。患者の死、そして、さらには身内の死に接して、医者として辛い局面を何度も味わうことになる。メンタルの方も相当タフでないと持たないよね。 脇をかためる人物のキャラクターも少しづつ立ち上がってきた。 軽い乗りで要領のいい同期の川村は、治療にあたれば、的確にテキパキとこなす、かなりな有能ぶりを見せるし、新たに研修医として入ってきた凛子ちゃんも、口ぶりは軽薄なお嬢さんっぽいけど、過激な勤務に結構真摯に向き合っているよな。 合コンで知りあったものの、たまにしか逢えないはるかとは、自然消滅かな・・・ と思ったら、おつきあいする仲に発展。この子も、結構男の子を振り回すタイプのわがまま娘かな、と思ったけど、意外と優しい子なのだというのが最後の場面で分かってきた。というか、実ははるかの方が隆治にぞっこんみたいで、この後の展開が気になります。
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自意識過小(過剰ではない)な女の子の成長譚。 麻子はなぜか自分に自信が持てずに一歩も二歩も引いてしまう。 でも本人が思うほどかわいくないわけでもなさそうだし、実は国立大学に入学できるくらいに成績も良いみたいだし、就職活動に出遅れたなどと言いながら大手の商社に入社しているし、そこで発揮する目利きの能力はむしろ抜きんでたものがあるし・・・なんだよ、かなりハイスペックじゃないか! どうも理想の高過ぎる「あるべき姿」を抱えてそこに届かないから「やっぱり私ダメなんだわ」と思い込んでいるだけみたいである。いや、誰だってそんな完璧な人いないんだから。そうかと思うと、足にぴったり合う靴に出会ったとたんにいきなり「やる気スイッチ」が入って前向きモードに・・と思ったらすぐに空気が抜けてって、えぇい自信持たんかい!! 何やら出来はいいのに不器用な孫娘を、はらはら見守るおじいちゃんのような思いにさせられる一冊です。
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ジェットコースターのような展開は下巻に入ってからは、知花煉が本体とマブイの二手に分かれることによって混迷を極めてきた。二人の煉の動きが交錯してどちらがどちらか分からなくなることしばし。唐突に場面が変わったり、ストーリーが不連続のままちぎれてしまったりと少々困惑したが、途中から一人称の「私」と「わたし」で見分ければいいのだと気づいた。 ジェットコースターのような展開と称したが、それは、戦争、戦後の占領、移民、そして今も人々のも基地問題が残ったままの沖縄の人々の受けてきた不条理を、知花煉という一人の少女に投影したからそうなるのであって、エピソードの一つ一つは実際にあった出来事をモチーフにしている。これほど苛烈な人生を生き抜いた知花煉に、なんら報いることなく、戦争はまだ終わっていないという非情さを以て応えたラストも、実際、今の沖縄がそうなのだからという現実を突きつけたものだ。 エンターテイメントの形式をとっているが、底流にあるテーマは結構深いものがある
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あずかりやさんに来る人は、モノを預けにくるのではなくって、心の重荷を一時的に預けにくるのだなと思える。あ、でも預けるのが目的ではなくって最初から上げるつもりでクッキーと手紙を預けっていったおかっぱの中学生もいたな。ところで、桐島くんと駅前の喫茶店でカレーを食べていたお嬢さんって誰? これまでの話に登場していたのだと思うけど、思い出せないのがもどかしいぞ! 桐島君、結構もてるじゃん
タイトルだけを見たとき、おっ、今回は凛子先生の話か? と勝手に思ってしまったが、佐藤玲先生のほうでした。時間軸はさかのぼり、雨野隆治が新人だった時代、さらには玲先生が研修医だった時代にまで前後する。多忙な外科医の世界にどっぷり身を投じていながら常にクールな印象の玲先生だが、その裏に熱く切ない想いが秘められていたのですね。しかし、外科医の仕事って、忙しすぎませんか? 人としての幸せを諦めざるを得ない職業環境って、長い目で見ると携わる人を押しつぶしてしまうことになってしまうのではないかなぁ、とちょっと心配。
患者の「思い残し」が視えてしまう卯月。彼女自身のつらい体験をきっかけに視えるようになってしまったがゆえに、その思い残しを解消しようと、結構無鉄砲に思い残しに現れる人を探して突っ走っている。ピンポイントに突進して探す割には、あっさりとその人が見つかってしまうのは都合がよすぎるようにも思えるが、それも能力の一部ということなのか? しかし、思い残しにこだわるあまりに犯した看護上のミスをきっかけに、「思い残し」とある程度距離をとるすべを徐々に身に着け始めたのは、正解なんだろうな。最後は、気持ちの上で、一つの落とし処にたどり着いたような卯月だが、続編があるようなので、さらに一山あるんだろうな。
幽霊絵師の名の通り、幽霊が視える火狂が居候する料理屋の一人娘・真阿。この子の見る夢も、人には見えていないことを暗示していて、ある意味特殊能力だよな。この二人の特殊能力がシンクロして、いろいろな謎が解き明かされていく。火狂は放浪の絵師なので、やがては旅立っていくのだろうが、そのあと、真阿は自分の能力とどう対峙していくのだろうか。小説としてはこれで完結なのだろうけど、先の行く末がちょっと気になる。
昔、永谷園のお茶漬けに東海道53次の錦絵のカードが入っていたなぁ、などということを思い出してしまった。その作者の歌川広重、朝湯、朝酒が大好きで、短気で言葉遣いも乱暴で、となかなかのこじらせぶりである。しかし人としての矜持はしっかりと持ち合わせていて、江戸の町に暮らす人々の営みを誰よりも大事に感じている。広重が絵に描くのは、ただ単に自然が作り出す風景への観察眼だけではなく、そうした人の営みを織り込んでいるのだなと感じることができる。広重の絵を実際に見たくなってきた。
浅生霧歌と文山遼生の距離が少しづつ縮まってきたな。お互い、遠慮がちに少しづつの接近であるようであるが、終盤、文山のかつてのスキャンダルが濡れ衣であったことが公になったことは、今後の展開の後押しになるのか? それにしても青海苑緒の行動は、あまりに身勝手すぎないかい? いくら心身ともに疲れ切っていたからと言っても、過酷な労働環境に責任をすり替えるのはお門違いと思うのだが・・・。 さてさて、番組はこの後、どう続くのだろうね。
外科医の手術って、ほとんど人間をサイボーグに作り変えるような行為だよな。そんな切った張ったの手術に日々追われていた剣崎自身が、手術される側に! なんか、施術するスタッフ達が楽しんでいるように感じられるのは気のせいか? しかし、手術直後に、看護師から他の患者の容体に対する助言を求められたり、翌日には診察し始めたり、それって「入院」じゃなくって「職場への泊まり込み」でしょ! 最後にはかつての患者だったさとみと今後の進展をにおわせる展開。次巻も出るのかな。
姉妹作の「臨床の砦」よりさらに時間を遡った、コロナが日本で流行り始めた初期段階の医療現場。確かにあの時点では、緊迫感を感じつつも、まだ、対岸の火事、暖かくなったら収束するのではないかという楽観的な考えも一部にはあったように記憶している。それにしても、多くの医療機関が傍観を決め込み、一部の病院にコロナ診療を押し付けていた実態は想像以上にひどいものがあるなぁ。あの時の出来事から学んだことといえば、人類は共通の敵(この時は感染症)に対して、一丸になって戦うことはできないのだということ現実であった。
昭和の価値観にがちがちに捕らわれてしまったおじさん達のこじらせぶりを描いた5編。最初のセクハラが自覚できないおじさんから始まって、だんだんそのこじらせぶりがひどくなってくるような感じで、最後の世直しおじさんに至ってはイタいとしか言いようがない状況である。各章のおじさんたちはそれぞれの話の最期で、わずかながらこじらせを解きほぐす糸口を見出しているようであるが、現実ではまったく自覚する様子のないこじらせおじさんって、時々いるよなぁ。
妖狐の笹丸の健気さ、はかなさがなんとも切ない。そして、隠居することになった源信医師に代わって長崎屋出入りの医師となった火幻。悪い人、いや妖ではなさそうではあるが、医師としての腕前は大丈夫なんだろか? そして、妖が百物語に参加して、出現した妖と出くわしてしまったらどうなるのか? 確かに顔見知りだったりしたら気まずいよなぁ。