ズシンと重く響く名著。数々のインタビューが丹念にコラージュされており、行間から女性たちの感情が鮮やかに滲む。 単なる戦争の話に留まらず、人間そのものを綺麗事抜きで真摯に描き出しているように思う。目を覆いたくなるような残虐性も、甘酸っぱい恋心も、すべては人間の中にあるのだ。 これほどの本を書く才能の持ち主が「祖国の恥を晒した」として故郷を追われたのは、まことに残念なことだ。しかし、悲惨な体験の果てに勝利を手にした人々にとって、ありのままの戦争体験を書籍という形で目の前にぶら下げられることは、必ずしも喜ばしくはないだろう。それもまた、綺麗事でない人間の感情だということか。