さんの書評2024/05/09

深呼吸が気持ちを落ち着かせ、ストレスを緩和する...ってあたりまえ?ですけど?

手技療法を生業としていて、セルフコンディショニングの方法論の参考に、と手に取った。 深い呼吸は自律神経を交感神経優位から副交感神経優位に切り替える唯一のスイッチ、ということで、その理由は「横隔膜にはたくさんの自律神経が来ているから」ということだった。たくさんってどのくらい?などと野暮なことは聞いてはいけない。 慌てたときや、イライラしたとき、深呼吸をして気持ちを落ち着かせなさい、とは誰でも知っていることである。 深呼吸を一日、何回か行うことが気持ちを落ち着かせ、ストレスを緩和する。 それ以上の知見は本書にはない。 が、温故知新、改めて「呼吸って大事だよな」とは思った。 話は変わるが。 施術をしていると、ひとによって呼吸数がずいぶん異なるのに気づく。 体の大きさとか年齢、性別は関係ない。 若くてお相撲さんのように大きな体なのに、呼吸が浅く、1分に24回以上って人も少なくない。 医者じゃないので、なにがどう悪いと具体的にはわからないが、不自然な感じは否めない。 が、逆に呼吸が深い人が長生きしそう、っていう感じも別にしない。 人の身体に毎日10時間以上、触っている感じとしては、呼吸はその一瞬一瞬の健康維持には重要でも、100歳の長生きに直接関係しているかどうかは、よくわからない。 著者は現在、65歳。 健康であるのは「長生き呼吸」を実践しているからだ、と主張している。 ま、そうかもしれない。 が、65歳は、まだまだ、若い。 去年の話だが、それまで病気一つしたことがなかった75歳の知り合いの女性が、いきなりの胃がんで生死を彷徨った。(無事、生還しました) 著者がもし100歳まで、いまのままの健康でいられたら、「長生き呼吸」がほんとに長生きに寄与するのかも、っていえるかもしれない。 が、たったの65歳で長生きを語るのは、わたしにいわせると時期尚早感が強い。 施術をしていると、65歳なんて、まだシニアでもいちばん若手だ。この年代で「やばいな」って感じる人は、少ない。 勝負が分かれるのは75歳以上、かな。感覚的ではあるが。 でも、何が勝負を分けるのかは、よくわからない。 それがわかれば、ノーベル賞だろうけど。 シンクレアが「ライプスパン」で書いていたことだが、人間の平均寿命はどんどん伸びているが、限界寿命は全然延びてない。100歳を超える人は100人に2,3人。115歳となると、1億人に1人いるかいないか。 著者にはぜひ、100人中3人の百寿者になってもらって「長生き呼吸」を証明してもらいたい。

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