さんの書評2022/10/22

はじめは教科書のようと思いながら。

はじめは教科書のようと思いながら。 ラッコから生態系をにぎるキーストーン種の存在を知る。 豊かになるための人間活動の悪循環に、温暖化をCO2の20倍に加速させるメタンハイドレートの話。 使い捨てのオムツの歴史と廃棄の問題は、環境を考えるうえで大事で、気軽に使って捨てるものではないと知る。 ダイアパーサービスは2022年の現在、環境の本で紹介されたのを読んだことはあるけ ど、まだ広く一般化されていないのでは? 書かれたのが2011年。 すでに原子力の生物全体に与える影響と、廃棄物の問題をとりあげ、原子力はクリーンなエネルギーではないと主張する。 そして、どきりとしたのは以下のくだり。 20年初頭に「もはや戦争など起こらない」と思い、人類は発展、進歩、自然の制約を乗り越えて人口も経済も工業も発展し続ける気分にひたっていた。 そして、「戦争は経済的な損失額が大きくコストがかかりすぎるから、どの国も戦争をしたがらないはず」と思い込む。 そんなとき、そんな、思い込みを一蹴する第一次世界大戦が勃発する。 そのくだりは2022年に始まる、ロシアとウクライナの侵攻前の、楽観視に重なる。 人間の遺伝子に組み込まれた残虐性から脱却する救いはあるのか。 まさか、ここで、天台宗の10界がでてくるとは思いませんでした。 戦の状況は、修羅界です。 大多数の人はこのあたりをうろうろしております。 人の脳に組み込まれた祈りの神経回路。 自然に対する畏怖、感謝を持ち祈る、宗教教育が必要。深い! 困難をきわめるとは思いますが、解決の道筋が照らされておりました。

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