さんの書評2023/12/053いいね!

タイトルで忌避するのはもったいない

タイトルで心を掴まれて面白半分で手に取った一冊だったが、実際に面白かった。射精道というのは新渡戸稲造の著作「武士道」を下敷きにした表現で、簡単に言うと武士の刀を男性のペニスと読み替えれば、その取扱に正しい知識と実践の積み重ねが不可欠であることは疑いようもないという話だった。強烈なタイトルに比してありきたりとも言える主張だが、逆に言えば堅実で、本著の内容がいかにまともであるかを物語っているように思えた。 著者本人が医師として実際の患者のさまざまな性の悩みに直面してきただけあって、どの章にも説得力があった。かと思えば、心当たりのある人をぎょっとさせること受け合いのパンチの効いた皮肉も挟まれており、読みながら笑いが込み上げてくる場面もあった。 また、完全に男性の立場から書かれているにも関わらず、女性に対してかなり親身な内容であると感じた。「射精道」と言いつつ、ひょっとすると女性の方が本著の内容に共感できるのではないかと思ったほどだ。しかし著者が男性の味方でないと言うことは決してない。性別を問わず楽しめる内容と言えるだろう。 いずれにせよ、タイトルで忌避するのは勿体無い一冊だと感じた。興味があれば、お手にとって頂いて損はないと思う。

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