森鴎外は何十年も前に「舞姫」を読んで、なんて自己中心的な奴なのだと思った記憶があるのだが、やはり自己中であった。で、鷗外と対峙して描かれている北里、そしてその周囲の登場人物がことごとく俺様キャラで鼻持ちならない連中ばかりである。明治のエリートって、皆こんな感じなのか? それでも、「病気を防ぎ、国民の保健向上を図る」ことを目的に実験に邁進する北里はまだ研究者として実がある。一方で脚気に有効と思われる麦食を学理的に証明されていないという一点張りで拒絶して、他人の批判に明け暮れる鷗外の態度は痛いものがある。ところで、表紙の写真、北里が大きく前面に出て、鷗外は後ろの薄暗いところに佇んでいるのだけど、これって意図的?