サラリーマン@Yoga好き❤️さんの書評 2025/11/05
地政学という言葉は聞き慣れていたが、「地経学」という耳慣れない言葉に興味を持ち、この本を手に取った。本書は、地政学と経済安全保障が絡み合う「地経学」という新たな戦略思考を、半導体やトランプ政権の関税政策など、さまざまな事例を通じて紹介している。そのうえで、日本が今後どのような地経学的指針を取るべきかという視点が提示されていた。 経済安全保障戦略においては、他国への依存度を減らすことで圧力への耐性を高める「戦略的自律性」と、国際的に不可欠な存在となる「戦略的不可欠性」、この二つをいかに組み合わせるかが重要であると述べられていた。これらを具体的に活用した事例として「シリコンシールド」なども紹介されている。 日本が取るべき方向性として、本書では「国際秩序を守るルールメーカーとなること」が推奨されていた。私もこの考え方には概ね賛同する。しかし一方で懸念もある。日本人の特性として、物事を決める際に多くの意見を聞き、合意を重視する傾向がある。そのため意思決定に時間がかかりすぎることがある。ルール形成においては、すべての人が納得するルールを作ることを目的とせず、納得しない国があれば参加しなくてもよいという毅然とした姿勢も必要ではないかと感じた。
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