恋は甘酸っぱい?ほろ苦い?「きらら」の作家たちvol.3

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左京区恋月橋渡ル

瀧羽 麻子

「左京区」シリーズ第2作。「それが恋というものなりけり」。恋に落ちた自覚のない理系男子の山根くんを学生寮の仲間達が応援します。初恋の彼女の素性が判るシーンは、京都ならではのドラマティックな展開です。

左京区七夕通東入ル

瀧羽 麻子

「左京区」シリーズ第1作。朝寝坊してブルーベリーを白いシャツにこぼしたおかげで恋に巡り合えた?恋のライバルは数学?京都での学生生活最後の年、新しい世界への出発も間近な時に出会った恋の行方は?

その手をにぎりたい

柚木 麻子

2012年8月号より「きらら」に連載。超高級すし店の鮨とすし職人に夢中になった青子の、バブル期1983年から10年間の物語。仕事人として成功したけど、10年の恋路は「あがり1丁!」とはならず、切ない。

疲れた心にビタミンやチョコレートを補給したい人にオススメ

瀧羽麻子さんは2015年3月号より「きらら」で「左京区」シリーズ第3作目の「左京区桃栗坂上ル」を連載しています。このシリーズでは、京都に行ったことのある人にはお馴染みの四条河原町、東大路、今出川通などの実在する地名や、葵祭、五山送り火などの風物詩が登場します。読んでいくうちに鴨川から吹いてくる風の匂いが感じられるような、京都で生活しているような気持ちになってきます。
瀧羽さんご自身が京都大学で学生生活を送った経験からでしょう、京都の描写だけではなく、学生達のおしゃべりやファッション、研究、ゼミなどにも現在の等身大の学生の姿が感じられ、山根くん、花ちゃんが自分の身内のように思えてきます。そして2作とも登場人物達が、みんなお互いを思いやっていて、支えたいと一生懸命ジタバタしていて、そんな彼らを応援せずにはいられません。
「なんか終わるってことは、なんかが始まるってこと」、「運命の人に出会って、弱くなって、強くなった」など、花ちゃん達の名言の数々や今時の学生達の気取らない会話、京都の緑が香る風。瀧羽さんの作品には私達を元気にしてくれるサプリがいっぱい詰まっています。

柚木麻子さんは2014年2月号より「きらら」で「ゆうずうききますんで」というエッセイを連載しています。朝井リョウさん、西加奈子さんなどの作家仲間との交流や、連載小説執筆中の舞台裏などが描かれています。お鮨やラーメンを食べるシーンは何気なく読み飛ばしてしまいがちですが、作家さんにとっては意外な苦労があるようです。
2015年の山本周五郎賞にまつわる話では、ノミネート期間中は「奇跡は起きないと呪文のように言い聞かせて」いたり、「もしかしたら取れるかもしれないという期待でお花畑状態」な時もあり、受賞を告げられて「ディズニーシーの『タワー・オブ・テラー』で急降下した時そっくりの悲鳴が喉の奥から出る」と描いています。柚木さんの文章には読み手をぐいぐい引き付けていくパワーがあります。そのパワーが読み手の脳内でいつの間にか元気の素に変化していくような気がします。

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閲覧回数:1514回、公開:2016/06/02

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