「嫌ミス」真梨幸子と「嫌」を解毒する大山淳子・藤谷治「きらら」の作家たちvol.4
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女ともだち (講談社文庫)
真梨 幸子
あずかりやさん (一般書)
大山 淳子
全員少年探偵団 (一般書)
藤谷 治
暗澹→安らぎ→絶好調!気分転換フルコースしたい人にオススメ
「嫌な気分になるミステリー」作家として有名な真梨幸子さんは2015年2月号より「祝言島」を連載しています。これからの展開が「嫌ミス」になっていくことを、恐る恐る乞う期待!
「女ともだち」は2006年の書き下ろし作品です。真梨さんの代表作「殺人鬼フジコの衝動」は殺人だらけで、その結末は救いも希望もありませんでしたが、「女ともだち」は、野心という人生においてプラスになるものがベースにあり、その分「嫌」度が優しくなっているかもしれません。事件の描写は凄惨ですが、登場人物の哀しい狂気は殺人を望んではいません。哀しいミステリーです。
大山淳子さんはテレビドラマ「猫弁」シリーズが代表作で、「きらら」では「福女」を連載していました。大山さんの描く作品を読んでいると、温かくて居心地のいいお布団の中にいるような気持ちになります。悪意のいる人など存在しない、不思議なことや不可思議なことが普通のことと同じレベルで発生する世界です。「あずかりやさん」ものれんや陳列ケースが語り部となっています。そんな世界に違和感なく入れるのは、「こんなメルヘンな世界があったらいいな」という潜在意識があるからかもしれません。温かくて優しい気持ちになれる大人のための童話です。
藤谷治さんは2015年12月号より「ぽんこつたち」を連載しています。藤谷さんは2010年まで下北沢で「フィクショネス」という書店を経営されていて、それが作品のモチーフになっているのかもしれません。
「全員少年探偵団」は江戸川乱歩生誕120年記念作品です。表紙の絵は小学校の図書館にあったシリーズそのままで、休み時間まで待ちきれずに授業中に机の中でこっそり開いて読んでいて、先生に怒られたことを思い出します。今回の120年記念の作品でも、あの頃のスリルと高揚感は変わりません。しかし、大人になった今では「宝石ひとつ奪うためにこんな大がかりな仕掛けを作って、どんだけ時間とお金をかけてるの?」と、つっこみたくなります。
事件が解決したら豆乳ドーナツで打ち上げです。お相伴にあずかりましょう。
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閲覧回数:1109回、公開:2016/06/18