佐藤正午「きらら」の作家たちvol.7

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アンダーリポート

佐藤 正午

通り魔による犯行だと思われていた15年前の殺人事件。被害者の妻は何かを隠している。当時4歳だった娘が気づき、第一発見者の私に協力を求める。平凡だと思っていた私の人生に殺人事件が関わっていたとは・・・

ジャンプ

佐藤 正午

「リンゴを買って5分で戻るわ」と言って失踪した恋人。結局のところ自分の意思で僕の前から姿を消したかったのだ。あの時の僕の選択は間違っていたのか?僕達の運命をこんなふうに変えたのは1杯のカクテルだった。

花のようなひと

佐藤 正午

PHPカラットに連載されていた「花」が登場する28の小品集。登場人物の多くは結婚未満の恋人達や、働くことにちょっと疲れた若い女の子達。佐藤さんの優しいまなざしと牛尾篤さんの挿絵に癒されます。

作家のしかけた罠を突破する挑戦者になりたい人にオススメ

佐藤正午さんは2011年~2014年に「きらら」で「鳩の撃退法」を連載、同作で2015年に山田風太郎賞を受賞されました。現在は「きらら」で「ロングインタビュー」を連載しています。「鳩の撃退法」の創作の裏話も盛り込まれた「佐藤正午読本」的な作品です。
今回紹介した「アンダーリポート」、「ジャンプ」、そして「鳩の撃退法」も長編小説で、佐藤さんらしい緻密で計算し尽くされた構成で書かれています。文章は小難しい比喩などなく、登場人物の行動を無駄のないクロッキー画のように描いていて、それは映像となって読者の前に現れてきます。その映像は、巧妙に、実にさりげなく重要な部分を隠しているのですが、読者はそのことには気づきません。
また、佐藤正午さんは読者に推理小説の醍醐味を思う存分味わってもらうために、読者が一番知りたいと思っている事件のカギを、大胆にも作品の冒頭で明かすことがあります。しかし、登場人物や舞台設定について予備知識を持たない読者には、その意味することを受け止められず、次から次へと提供される謎や判明する事実に翻弄されていきます。一般的な読者として読むならば、佐藤さんの仕掛けた罠にはまり二度読みを余儀なくされますが、全ての謎が解明していく爽快感を味わえます。あるいは挑戦者として作品に挑み、全ての伏線を解読、罠を突破し「佐藤正午の上級者」になるのもオススメです。

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閲覧回数:770回、公開:2016/07/30

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