きみちゃん(きみはらなりすけ・鈴木公成)

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空想特撮小説「怪人家族の総選挙」の著者です。応援よろしくお願いします。

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さんの書評2023/09/08

全ての特撮作品のアンサー的作品。児童文学、児童小説としても古典名作になり得る。

特撮ヒーローに出てくる怪人が現実の世界に現れる、立場が逆転してヒーローをやっつける、そんな設定の物語はこれまでにもあったかもしれない。しかし本作で怪人たちが挑むのは、人間との共存である。怪人の子どもだって学校に行きたいと思うし、怪人だって平和に暮らしたり、選挙に出たいと思うかもしれない。そこに立ちふさがるのは、人間たちの不理解であり、現実の法律の壁である。怪人たちに人権はあるのか?そんなシミュレーションが行われている本作は、東映特撮ヒーローをモデルにしながらも、円谷プロのウルトラQ、ウルトラマンに近く、「空想特撮」を冠した意図が読み取れる。児童文学、児童小説として見ても、「創作物に命が宿る」「創作の世界からキャラクターが飛び出す(向こうの世界へ行く)」「人間たちの驕った行動により、蔑まれた者たちの怨念が蓄積するが、主人公の正しい行いによって正される」といった名作的要素が散りばめられており、古典の名作と勝負できる、古典になりうる作品だと考える。しかし何と言っても、本作を名作たらしめている最大の要因は、主人公ケロ太少年の、親を思う純粋な気持ちと頑張りであろう。ケロ太少年の本物の「正義」の心に、皆感動し、涙を流すはずである。この辺りは、著者もリスペクトしているという、東映特撮、円谷特撮の両方に関わった脚本家、上原正三節を受け継ぎながらも(子供向けSF特撮ファンタジー特有の「そんなバカな!?」と笑ってしまう展開含め)、見事に現代の社会問題をちりばめた、全ての特撮作品のアンサー作品となっていると評する事ができる。色眼鏡で見ることなく、ぜひ一度お手にとって頂きたい作品である。 ※追記 本作を、「仮面ライダー」「スーパー戦隊」を生み出した、石ノ森章太郎作品に対する批判と捉える向きもあるかもしれないが、石ノ森は同時に、「ロボコン」など、人間と人造物が平和に共存している作品も描いている事から、そこに至る過程を描いた作品と捉えても良いのではないだろうか。また、人造物の人権については、すでに手塚治虫が「鉄腕アトム」でも描いている事から、手塚治虫的視点(著者は手塚もリスペクト)から見た教育的風刺と捉えても面白いだろう。

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