Rokoさんの書評 2023/06/04 1いいね!
戦地という極限状況でも、ほんのわずかな時間でも、祖国での自由な時間を思い出したり、物語に心を躍らせたりすることで、かろうじて平常心を保てたのです。そして、がんばろうという気持ちも湧いてきたというのです。 ある兵士は敵軍(日本軍)がすぐそばを通過していく中、塹壕の中で覚悟を決めて兵隊文庫を読んでいたのだそうです。そうすることで恐怖を忘れ、時間が経つのを忘れ、彼は生還したという話にはビックリしました。 兵士を人間として扱うからこそ、兵隊文庫という考え方が生まれたアメリカと、無駄死にを何とも思わなかった日本では、戦争の勝敗は当然のことなのだと思います。 あの「グレート・ギャツビー」が兵隊文庫で再評価されてベストセラーになったということを、この本で初めて知りました。兵隊文庫から読書する楽しみを知ったアメリカ人たちが、それまでより多くの本を読むようになったというのも、凄いことだと思います。 そして、兵士たちが国に帰ってから、職業訓練のために学校へ戻ることを支援する制度を作ったというところも素晴らしいと思います。
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