さんの書評2017/12/091いいね!

読む人を選ぶ傑作

最近「モラハラ」が個人的にhot topicであり、たまたまこちらの本にたどり着いた。 ストーリー展開も良く、一気に読み終えた。 昨今、職場や家庭で問題となっている「モラハラ」と、この物語の中で起こっていることを単純に比較は出来ないが、根本は同じだと感じた。人の自尊心を麻痺させ狂わせ、支配する。 60年も前のフランスのフィクション作品を通して、人の心理構造は未だに変わっていないことを学んだ。とても60年以上も前の作品だとは思えない、妙な新鮮さがあり恐ろしくなった。 ここ数年で読んだ本の中で最もインパクトの強い作品だったかもしれない。単にバイオレントな表現が含まれるからというわけではない。そこは正直どうでも良い。とにかく主人公の心情描写が非常にリアルで、印象的だった。 後味は良くない。というか、相当悪い。読み返したくはないが出会えて良かったと思える1冊。 ※澁澤さんの訳がきれいで、性描写部分も一切不快感がなかったのも素晴らしい。

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