さんの書評2023/02/03

生活保護申請のたよれるガイドブック

著者が上野千鶴子氏とも杉田水脈氏とも交流があることに(失礼ながら)驚いて本書を読んでみた。この本は3度のごはんを食べることに困ったら躊躇せず生活保護を申請してよいのだと、具体例をたくさんあげて勧めてくれる。 たしかに、がまんにがまんを重ねて体をこわしてしまってから挽回するより、まだ経済的に厳しいという見通しをもった段階でいったん生活保護を受給して、あせらず生活の立て直しを測った方が本人にも社会全体にもよりよい選択だと言える。国が法でさだめた制度であるにもかかわらず、市町村の窓口で利用を阻もうとする職員がいること自体が不可解である。が、そういった実態があるとのことなので、本書を手引きにし、申請時の時間と気持ちをすりへらすのを防ぐ方がよいと思う。 本著が市役所ロビーや福祉事務所の待合室に置かれていればよいのだが、せめて市町村立図書館には備えていてほしい。 この本とつくろい東京ファンドが開発した「フミダン」があれば、人生の特に困難な時期に気力をふりしぼって生活保護申請をしなくてはならない人に大きな助けになるだろう。

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