sugarさんの書評 2020/08/10 1いいね!
戦略がすべて (新潮新書) 瀧本 哲史☆3 恥ずかしながら筆者の名前は最近になってから知った。 もう存命ではないこと。エンジェル投資家であること。京大で教鞭をとっていたことなど 最新の著書である「2020年6月30日ここで会いましょう」を冒頭だけ読んで、興味が湧いてきたので読んでみた。 最近、仕事内容が大きく変化し、戦術、作戦などは思いつけど、戦略まではまだリーチできていない現状を鑑みて、戦略を練るためのヒントを得ようと 結論として、脈絡がない構成となっており、戦略のベースになるような思考訓練があるわけではなく、筆者が思いつく戦略をつらつらと記載している内容であった。 無益かと言われれば、なぞるだけでは無益である。 しかし、これは筆者にとっては不本意だろう。 この著書にも記載されているが、自分の中で反証をしなければ意味がない。 本来であれば、気になったところに関して反証をして自分の中での戦略を練るべきであるが、以下の理由から行わなかった。 ・挙げられた事例に興味が持てない点 ・あくまで戦略は未だに生活に根付いているわけではなく、仕事であり、それに近い事例がなかった。 一方、興味深い点としては、「なぜ、現代の出版物の中で教養が注目されているのか?」について論じている箇所は面白かった。 曰く、情報過多になりがちな現代人にとって、情報は取捨選択をしなければならず、自分の好みを選択していると、ともすればタコ壺化し視野が狭くなり、自らの可能性を閉ざしてしまうので、情報消費社会の反動としてのブームであると 教養のひとつの機能は、アラン・ブルームの言葉を借りれば「ほかの考え方が成り立ちうることを知ること」にある。つまり、情報の爆発と防衛による蛸壺化を経て、失われた普遍性を取り戻そうとする動き、これがすなわち「教養」ブームであると ある意味では納得するが、果たしてそうだろうか 教養は個人にとって定義がバラバラであり、一括りにはできず、それこそ著者が最も関係性が深いビジネスマンなどは哲学や思考についてなどのビジネスシーンに役立つものが教養として 一方、そのほかのものにとって教養と言われると、英語や資格取得も教養になるだろう。 それは情報の蛸壺化とは異なるベクトルであり、普遍性ではなく、不安を解消するために具現化したもの(教本)を手元に置きたいと言う、将来に対する不安の表れなのだと考える。 この教養をブームと捉えるのではなく、漠然とした不安の表れであると見た方が戦略を立てやすい。 結局、本書は自分の戦略の道筋を記載したもので、すべてを戦略として落としてはいない点が散見される。 他の著書も借りてきたので、更に著者の考え方を知ろうと思う。
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