さんの書評2014/10/235いいね!

首折り男のための協奏曲 -伊坂幸太郎

人生捨てたものじゃないな。 そんな心地よい余韻にひたる。 短編7話が緩やかにつながる伊坂ワールド満載の短編集。 著名人の名言や格言とは異なる、 著者独自の人生訓のような台詞や会話、言い回しが好きだ。 行列でモタモタする人に対しての怒るふりをしてあげる 軍旗がひるがえると、理性がラッパを吹き鳴らす 著者の、人間性の観察力とその表現力に感心する。 中でも好きなのは「僕の舟」と「人間らしく」 平凡な結婚生活を振り返る女性が、一度だけ経験した四日間の恋人を探す依頼をした「僕の舟」で、人生とは意外と小さな世界というか、巡り会わせが決まっているような愉快さがある。 「人間らしく」では、いじめや不倫といった、不埒な奴がのさばる生活の中で、 信賞必罰・勧善懲悪や天網恢恢疎にして漏らさず、といった、 神様はいて、見るときは見ていて、制裁が下されるのだ、という爽快感がある。 そして、最後の「合コンの話」 面白い物語展開、書き出し・表現に惹かれる。 微妙な男女の心境、駆け引き、そして、元の鞘。 何よりも、見てくれ最悪・受けの悪い男が、 奏でるピアノの圧倒的な演奏に惹きこまれるいく爽快感。 世の中は、いろいろ人が奏でる協奏曲。 人生は面白い。

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