さんのコメント2019/12/24

感動を煽る文章ではなく淡々とした文章なのになぜが梅と昆布茶漬けあたりから込み上げてくるものがありました。視点がコロコロ切り替わり、同じ場面を登場する人物の視点から描かれます。また、時空も結構飛びます。ん?いつ?となりますが、何とか読み進めると馴染んできます。小説には珍しく、初めに料理が登場し徐々に名前だけの登場になります。新しいです。何か料理に纏わる話かと思いきやあまり関係ありません。でも引き込まれます。読み終えた後は、長距離ランナーが味わっているかのような爽快感がありました。不思議な本と出合いました。登場する料理の中で描写があり合いしそうだなと思ったのは最初のアスパラと里芋と豚肉の照り焼き炒め、アスパラのお浸し、肉味噌、和風ピクルス、大根のきんぴら、鰺のなめろう丼、終盤のカブと手羽先の煮物、梅と昆布茶漬け、みかん酒です。都ちゃんが料理に込めた思いも読んでいたいと思いました。

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