やまてるさんの書評 2014/10/18 2いいね!
子どもたちの憂鬱、 飛んでゆけ! 願いとばし、飛んで行くランタン風船に乗って! 児童養護施設で暮らす大輔たちの成長物語。 親がいない、あるいは、問題な親のために別れて、共同生活する児童養護施設が舞台。 みんなトラウマを抱えていた。 親がいない孤独感、虐待や疎外感。 そして、学校では、いじめや進路。 親がいないために、学校では肩身の狭い思い。 悩みや不安は、誰にも打ち明けられず、抱えたまま過ごすしかなかった。 けれど、身寄りがない者同士が暮らす生活。 一緒に暮らすうちに、実の兄妹以上のつながりを生まれた。 施設を卒業していく佐緒里のために、もう一度願いとばしがしたい。 それは、佐緒里だけでなく、みんなの憂鬱を吹き飛ばす夢だったのだ。 大輔の視点の展開。 大輔が行動する中で、過去の記憶がかぶっていく、映画みたいな物語進行。 『いじめられたら逃げたらいい。 笑われたら、笑わない人を探しに行けばいい。 うまくいかないって思ったら、その相手がほんとうの家族だったとしても、離れればいい。 そのとき誰かに、逃げたって笑われてもいいの』 『逃げた先にも、同じだけの希望があるはずだもん』 希望 それは、新たなる出会い。 自分のことを思ってくれる人との出会い。 希望は減らない。 傷みを知る人は優しくなれる。 現代社会の対人関係や学校生活で、悩む児童たちへ応援に思える。 子どもたちの明るい未来を願わずにはいられない、ほろりとした物語。
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