きゃべつさんの書評 2024/03/12 1いいね!
高校野球マンガでかつそれ以上 野球マンガであり、コーダ、聾者、聴覚障害、日本手話、指文字、等々、どういうことなのかよく理解できるように水先案内してくれている作品。それに、「学校」の中の生徒や保護者たちのインクルーシブ教育への理解、もしくは理解不足のよくある言動が描写されていて再現度が高い。 ろう者である相澤真白(ましろ)の母相澤芙美子は同じくろう者で翻訳家 父は聴者 2つ下の妹美青(みさお)は聴者で日本手話とのバイリンガル。 特別支援学校で軟式野球のピッチャーをして、硬式野球をやりたくて普通学校に進学した。そこで、早速野球部に行くとキャッチャーの野中と会う。とっつきにくい印象の野中だが、真白の投げる球を受け、指文字表を見て「ナイスボール」と語りかける。 それからバッテリーとしての付き合いが始まる。野球部員たちも徐々に指文字やスマートフォンなどで真白と話ができることをわかっていく。 野球マンガらしくこの先この都立高校野球部が大会で勝ち上がっていく展開なのかどうか今のところわからない。一読者としてはそれよりこの高校の生徒や保護者、教職員の変化を見たい。 また、美青の、ろう文化と日本語文化両方またがって生きている日常も見てみたい 福岡県うきは市立図書館にて閲覧させてもらったが、各公共図書館のYAコーナーにおいてほしい。 学びが多く、知らずに持っていた偏見を洗い落としてくれる作品だから。
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