内田裕介さんの書評 2024/02/08 1いいね!
1分で耳がよくなるなら、と手に取った。
が、そんな安直でうまい方法はない。(読む前からわかってはいたが)
著者考案の7つのトレーニングのひとつをやるだけでも1分以上かかる。
それを気長に1年半ほどやると聴力が改善する(かも)、ということだ。
「3歳の男の子、ある日を境に呼んでも振り向かなくなった。7件回った病院での診断はどこも先天性のものだから治らない、とのことだったが、本書の方法で1年半かけて元通り聞こえるようになった。p40」
聴力は物理的な音波の受容器としての耳と、それを意味のある「音」として認識する脳の働きのふたつからなる。例えば前者は問題なくても、後者に問題があるとこうなる。
「相手の声は聞こえても、別の言語を話しているようで内容がまったく聞き取れない。会議の時にペンを落としたり、コップをテーブルに置いたりする音ばかり拾ってしまい、話している内容がまったく理解できなかった,p32」(30代男性、聞こえが悪くて補聴器を付けたが改善しない事例)
前者は内耳への血流の改善、後者は「聞こえない」と思う心、考え方の改善が必要で、本書で参考になったのは後者の方法だ。
「10種類から好きな音色の鈴を選んでもらい、耳音でそれをじっくり味わって、いい音だな~と脳に記憶させる。もっと聞きたい、と思わせておいて、耳から少しずつ離していく。そうすると、脳が一生懸命聞こうとするので、どうせ聞こえない、と怠けていたのが活性化される。好きな音を毎日、ほんの数分でいいので、耳にすることで脳の働きが高まり、聞こえづらさが解消する。p135」
これは、なるほどな、と思う。
また、こういう方法も紹介されている。
「難聴になったらどんどん音を聞くべし。突発性難聴の患者に阪大病院で行った実験で、ステロイド療法に加えて、聞こえる耳に耳栓をし、聞こえないほうで1日6時間、音楽をきいてもらったところ、3カ月後にはステロイド療法のみの患者に比べて張力の回復が著しくアップした。p125」
これも耳ではなく脳に対するアプローチとして参考になる。
一方でこういう記述もある。
「p78 耳をよくするには腸をよくしろ、と言っている。その理由は腸が耳の健康に必要な、血液の流れにいちばん大きな影響を及ぼすため。腸の動きが鈍ると代謝を含むすべての機能が低下してしまう。大腸小腸を中心とした内臓の働きが衰えれば当然血流も悪くなってしまう。」
なんの生理学的根拠もしめされていないこういう記述をみると
なんでやねん!と突っ込みたくなる。
ということで、参考になる記述もあったので、いちおう★3つにしておいた。
参考までに、著者考案のトレーニングをメモっておく。
◆1分で耳がよくなる今野式7つのトレーニング
①4つの基本マッサージ
・耳シェイク 耳の付け根と前を人差し指と中指で押さえて上下にシェイクする
・耳さすり 耳の周りをさする
・耳の穴刺激 耳の穴に小指をいれて上下左右に軽く押す
・耳引っ張り 耳全体を上下左右に軽く引っ張り、両手の平で耳穴をふさぎ、2秒したらパッとはなす
②エア縄跳び 1分で4-50回、一日500回を目標に
③チョッピング呼吸法 大きく吸って、「フッ、フッ」と、息を少しずつ止めながら吐き出す 3回1セット一日50セット
④お腹ウェービング 右手をおへその右下におき、手を波打つように動かしながら反対側までマッサージ。20回以上。
⑤頚椎シェイキング 片手の手のひらを頚椎を包むようにあて、上中下優しく左右にシェイク、全体で1分。頚椎の血流改善。
⑥スプーン熱針療法 70度に温めたお湯にスプーンの柄をいれ、おへその周りを円を描くように温める。腸の血流を改善。
⑦サウンドメディテーション 昔聞いた楽しく幸せな気分になる音、心地よい音を思いだす。最低1分。聞こえていた記憶を呼び覚ますことで、聴神経を刺激する。聞こえるはずと思うことで実際に体が聞こえるよう働き始める
以上。
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