コモリーマン@Yoga好き❤️さんの書評 2026/01/28
焚殺を読んで
近所の公民館で男女共同参画の本として紹介されていたため、興味があり手に取って読んでみた。この本は1973年6月24日、ニューオーリンズで発生したアップステアーズ・ラウンジ火災事件をドキュメンタリー風に取り上げた作品である。この作品の特徴として、9割近くが事件のドキュメンタリーに割かれていたが、この事件が当初あまり注目されていなかった理由についても、他の事件等と比較して書かれており、この点については非常に興味深かった。
注目されていなかった理由としては、火災で亡くなった人たちがMCC(メトロポリタン・コミュニティ教会)の信者であり、性的指向がゲイであったことが挙げられていた。当時の社会背景では同性愛者は背徳者、犯罪者、倒錯者とみなされており、そのためマスコミ側も詳しく報道することによりゲイのライフスタイルを紹介することになり、それがゲイのライフスタイルを認めることになるのではないかと恐れ、生存者自身も自身がゲイであることが表沙汰になることを恐れ、その結果、マスコミであまり取り上げられなかったことが理由として挙げられていた。
また宗教的(キリスト教、特に福音派においてゲイであることがタブーであり、同じ信仰を持つ仲間としてゲイの信者がいることは許されないという思想)、法的(ゲイを犯罪と法で定めていた当局)、科学的(ゲイは精神疾患であるという偏見を持っていた)の3点から、当時の社会においてゲイに対する偏見が根強かったことも挙げられる。これらの複合的な要因から、ゲイに対する排斥行動がエスカレートしたこの事件を注目すること自体がタブーであったことも述べられている。
今回、この本を通して、過去にこのような痛ましい事件があったことを初めて知った。この事件から得られた教訓として、日々発生するニュースに対してきちんと発生した経緯を把握すること、ニュースでそこまで深掘りされていない場合、その理由についてもきちんと考察することを学びとして得られた。LGBTの歴史をきちんと学びたい人に対してお勧めできる1冊である。
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