藤雪花さんの書評 2023/01/14 2いいね!
マッカからマディーナへのムスリムへの移住がヒジュラ歴のはじまり。その歴は文中でしばしば西洋歴と併記される。
彼らの運命の真の転換点であるムハンマドに啓示が下された10年後。
内容は、まったく知らなかったイスラームからムスリムの信仰をめぐる考え方の闘争と、社会のあり方、モンゴルやヨーロッパの侵略の歴史。
9.11の報復まで。
それぞれ自分の属する社会の物語でしかみれない文明が、交錯してしまったがために悲惨な軋轢が生じている。
なぜ産業革命が中国やイスラーム社会では起こらずヨーロッパで起こったかの分析は必読かも。
誰かが世界はこうなのに、というとき、あなたのいう世界ってどこの国を言っているのですか?といいたくなる本。
開国し明治維新を経て、列強に負けない富国強兵をめざした日本の憧れ、西欧諸国への幻想がこなごなに砕かれ、警戒心がわくこと必須。
他者や他国、他民族、など自分たちとは異なる人と関わるとき、彼ら自身の歴史を学び、背景を知ることが大事だと理解する。
残虐な虐殺行為が人間の歴史について回るのが、本当に悲しい。
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