内田裕介さんの書評 2024/07/30 1いいね!
ソルフェジオ周波数について調べていて、手にとった。
ネットでは古代グレゴリオ聖歌がどうとか、ピタゴラスがどうとか、由緒ありげに書かれているソルフェジオ周波数だが、実際には1990年代にジョゼフ・プレゲなる人物が枕元にたったイエスに啓示を受けて、聖書から「発見」した6つの数字(周波数)であり、それに本書の著者、ホロウィッツが3つの周波数を付け足して、合計9つのソルフェジオ周波数が出来上がったようだ。
したがって、ソルフェジオ周波数に歴史的・文化的な裏付けや積み重ねがあるわけではなく、つい最近、二人の人物がキリスト教を背景に作り上げた物語だ、ということだ。
ホロウィッツは大変博識なようで、数秘術やら量子力学やらを駆使して、528という数字(あるいは周波数)が、いかに神聖で万物に共通普遍な原理であるかということを、膨大な「証拠」で証明していく。ただこちらにほとんど知識がなく、簡単に検証や追体験できる内容でもないので、本当なのか妄想なのか、イマイチよくわからない。
例えばNASAが発表している「太陽の音」。これも528Hzだとホロウィッツはいう。で、ネットで拾って周波数解析してみたのだが…。残念ながら71Hzにピークがあるのみで528Hz付近にはなんの特徴もなかった。確かめてみた「証拠」がこれでは、全体の信ぴょう性にも疑問符がよぎる。
またホロウィッツはイルミナティの世界支配をいういわゆる陰謀論者でもあり、本書には陰謀論も同居していて構造も複雑、正直言って、内容はほとんど理解できなかった。
とはいえ、ホロウィッツが導き出したソルフェジオ周波数を「ただの妄想」と決めつけるつもりはない。これだけ多くの人が取り上げているのだから、なにかご利益があるに違いない。そのご利益を確かめてみたい。が、その具体的なメソッドやテクニックも何も書かれておらず、読んだはいいが、さて次はどうすればいいのか、ちょっと途方にくれている。
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