目次
斉藤茂吉 寓居(山形県最上郡大石田町)
太宰 治 生家(青森県五所川原市)
草野心平 生家(福島県いわき市)
永井路子 旧居(茨城県古河市)
野口雨情 生家(茨城県北茨城市)
生方たつゑ 嫁家(群馬県沼田市)
伊藤左千夫 生家(千葉県山武市)
野上弥生子 旧居(東京都世田谷区)
林芙美子 旧居(東京都新宿区)
島崎藤村 旧居(神奈川県中郡大磯町)
吉屋信子 旧居(神奈川県鎌倉市)
堀 辰雄 旧居(長野県北佐久郡軽井沢町)
小林一茶 旧居(長野県上水内郡信濃町)
木下尚江 生家(長野県松本市)
窪田空穂 生家(長野県)
伊良子清白 旧居(三重県鳥羽市)
中 勘助 寓居(静岡市葵区)
外村 繁 生家(滋賀県東近江市)
志賀直哉 旧居(奈良県奈良市)
山岡荘八 旧居(奈良県奈良市)
石上露子 生家(大阪府富田林市)
谷崎潤一郎 旧居(神戸市東灘区)
佐藤春夫 旧居(和歌山県新宮市)
他多数掲載
前書きなど
あとがき
私が初めて作家所縁の家を訪ねたのは昭和六十二年十二月、津軽の太宰治生家〈津島家〉であった。太宰を訪ねたのではなく、生家を設計した棟梁、堀江佐吉の取材であった。その時、私の心に残ったのは家ではなく、太宰が育った地吹雪舞う厳しい津軽の風景
であった。
二軒目は、筑豊の伊藤伝衛門邸だった。家には美貌の歌人・柳原白蓮の遺香が流れていた。白蓮の激しい人生を知ると、他の作家、歌人たちが気になりだし折々にそれらの人達の生家や旧居を訪ねた。そこには作家たちの様々な光と影の日々が染み、刻まれていた。家の造作などにはそれ以上の興味は湧かなかった。
訪ねた人々、家々はまだ半分だが、己に人生の終焉が近づいている。それでもあと一人、あと一軒と訪ねたいと思う。命の灯消ゆる時まで。
一〇八
水無月 著者