目次
もくじ
はじめに ·································· 4
第1章 グローバル化の課題 ·················· 13
1.1. グローバル政策 15
1.2. 世界情勢 17
1.2.1. 世界のグローバル化 17
1.2.2. ボローニャ宣言 18
1.3. 日本の大学の課題 20
1.3.1. 開講科目数 20
1.3.2. 授業料 21
1.3.3. 学問の自由 22
1.3.4. 教育の質保証 23
1.4. 非難を浴びるグローバル 24
1.4.1. S短大事件 25
1.4.2. T福祉大学事件 25
1.4.3. 留学生による犯罪 26
1.4.4. 留学の質保証 26
1.5. 海外留学 27
1.6. まとめ 29
補遺1 学修時間 ································ 33
A.1. 単位を取得するための条件 33
A.2. 標準の授業時間 36
A.3. 学修時間の計算 37
A.4. ヨーロッパ 38
A.5. アジア太平洋諸国 38
A.6. 単位互換 39
第2章 グローバル政策 ·························· 42
2.1. 日本におけるグローバル政策 42
2.2. 2000年代国際競争力の強化 44
2.3. 留学生30万人計画とグローバル30 47
2.3.1. 留学生30万人計画の内容 47
2.3.2. 国際化拠点整備事業 48
2.4. グローバル人材育成推進事業 51
2.5. 世界展開力強化事業 54
2.6. トビタテ!留学JAPAN 57
2.7. スーパーグローバル大学創成支援事業 59
2.8. 教育未来創造会議の提言 61
2.9. ソーシャルインパクト創出支援事業 63
第3章 グローバル化の意義 ······················ 67
3.1. 世界のグローバル化 68
3.2. グローバル人材 69
3.2.1. 総務省の定義 69
3.2.2. 文部科学省の定義 70
3.2.3. 人材育成推進会議 70
3.3. 多様性の効用 72
3.3.1. 経験は最良の教師なり 73
3.3.2. 学生を海外に送り出す 74
3.3.3. 教職員の海外派遣 77
3.4. 海外留学生 78
3.4.1. 留学生のメリット 78
3.4.2. 送出国のメリット 79
3.4.3. 受入国のメリット 80
3.5. 日本の課題 83
3.5.1. 授業の質保証 84
3.5.2. 授業の英語化 85
3.5.3. 教職員の国際性 87
3.6. まとめ 89
第4章 グローバル化への取組み ·················· 91
4.1. アウトバウンドとインバウンド 92
4.2. 失敗例 94
4.2.1. 教員の協力が得られない 94
4.2.2. 挫折 95
4.3. 芝浦工大の取組み 96
4.3.1. グローバル化の嚆矢 96
4.3.2. 組織的取組みの歴史 97
第5章 東南アジアとの交流 ····················· 104
5.1. マレーシアとの連携 104
5.1.1. ルックイースト 104
5.1.2. チャンスは逃すな 106
5.1.3. 支援事業スタート 107
5.1.4. HELP2 -ツイニングプログラム 109
5.1.5. HELP3 111
5.2. 博士学生の招へい 112
5.2.1. 修士・博士課程のハイブリッド 112
5.2.2. ダブル・ディグリー 114
5.2.3. 学生選考 115
5.2.4. ネットワーク拡大 116
5.3. 東南アジア工科系大学との連携 117
第6章 飛躍への序章 ··························· 119
6.1. グローバル人材育成推進事業 119
6.1.1. 事業の目標 120
6.1.2. 事業推進の課題 121
6.1.3. 中間評価結果 122
6.1.4. 学生の語学レベル把握 123
6.1.5. TOEIC受検の義務化 125
6.1.6. ワークショップ 126
6.2. ブラジル政府による「国境なき科学」 127
6.2.1. ブラジル政府からの依頼 127
6.2.2. 英語科目の開講 128
6.2.3. 研究室留学 129
6.2.4. 国境なき科学2014 130
6.2.5. 日本人学生への刺激 131
6.2.6. インセンティブ制度 132
6.3. サンドウィッチプログラム 133
第7章 スーパーグローバル大学創成支援事業 ····· 135
7.1. 大学ガバナンス強化 136
7.2. 事業への申請と採択 137
7.2.1. 大学構想の作成 138
7.2.2. タスクフォース 140
7.2.3. SGU事業構想 141
7.3. SGU事業の数値目標 146
7.3.1. アウトバウンド数の目標 146
7.3.2. インバウンド数の目標 149
7.4. ロジックモデル 150
7.4.1. ロジックモデルとは 151
7.4.2. 芝浦工大のロジックモデル 151
7.4.3. ロジックモデルの波及効果 154
7.5. 学位プログラムの構築 154
7.5.1. 英語学位プログラムの課題 155
7.5.2. ダブル・ディグリー 155
7.5.3. 学内への宣言 156
7.5.4. 始動した英語学位プログラム 157
第8章 グローバルPBL ························ 158
8.1. システム工学 159
8.2. 課題解決型学習 159
8.3. システム工学に基づくPBL 161
8.4. グローバルPBL 162
8.4.1. 学生参加の状況 163
8.4.2. 学科間の競争 165
8.4.3. 大学全体の動向 167
8.5. 受入型グローバルPBL 170
第9章 学位プログラム ························· 172
9.1. 国際理工学専攻の設置 173
9.1.1. ABEプロジェクト 174
9.1.2. イノベーティブ・アジア 175
9.1.3. ダブル・ディグリー 176
9.2. 国際プログラムの設置 176
9.2.1. システム理工学部の挑戦 177
9.2.2. 国際プログラム3つの特徴 178
9.2.3. バディ科目 179
9.2.4. 国際プログラムの実績 180
9.3. 先進国際課程 181
9.3.1. 日本が抱える課題 182
9.3.2. 卒業論文研究 183
9.3.3. アクティブラーニング 184
9.3.4. フンボルト方式 185
9.4. 対象となる海外学生 186
9.4.1. サマーインターンシップ 186
9.4.2. 高校生の研究 187
9.5. カリキュラム 188
9.5.1. IGPの先進的な教育 190
9.5.2. 入試をどうするか 191
9.5.3. 外国籍教員 193
9.6. 学位プログラム申請 194
9.7. 今後の課題 195
第10章 隗より始めよ ·························· 197
10.1. ひとが変わる 197
10.2. 和製グローバルからの脱却 198
10.3. 米国大学日本校の挫折 199
10.4. 何ができるか 200
10.4.1. アウトバウンド 201
10.4.2. 東京都市大学 201
10.4.3. 工学院大学 202
10.4.4. 近畿大学 204
10.5. まとめ 205
おわりに ······································· 207
謝 辞 ········································· 208
前書きなど
はじめに
日本政府も経済界も文部科学省も、グローバル人材の育成を重要視し、過去、何度も大学に対して提言を行ってきました。また、多額の補助金を使って大学のグローバル化推進を支援してきました。しかし、残念ながら、日本の大学のグローバル化はなかなか進展していません。その背景には、日本の多くの大学が、真の意味でグローバル化の意義を感じていないことがあります。世界に目を向けなくとも、日本人学生さえ集まれば、大学経営は成り立つからです。
しかし、現代社会では、経済も文化もスポーツも、グローバル化が進んでいます。日本一国だけで経済は成り立ちません。さらに、日本が得意としてきた科学技術分野においても、グローバル化の波は押し寄せており、イノベーション創出には、多国籍からなるチームの協働が必要と言われています。よって、大学もグローバル化に目を向け、グローバル社会で活躍できる人材を育成する必要があるのです。しかし、どこから手を付ければ良いのだろうと戸惑うかもしれません。
本書では、グローバルとは程遠いと思われている私立の工業大学がいかにしてグローバル大学への道を歩んできたかを紹介します。その基本は、無理をせずに、できるところから始める、そしてチャンスは逃さないことです。また、何より、教員と職員と学生がグローバル化の意義を共有し、一体となってグローバル化推進に取り組むことが重要です。この意識改革こそが大学を変える原動力と言えるかもしれません。
本書を通して、大学のグローバル化の意味と意義を理解いただき、魅力ある大学づくりに自分たちも取り組んでみようという大学人が増えるならば著者として幸甚です。
著者 村上雅人、小倉佑介
2025年10月