目次
はじめに―香港危機の残響
香港イメージの変遷
政治問題への関心の偏り
「オタクたちのデモ」論の限界
本書の構成
第1章 煽動する文字―言葉からみる香港危機
煽動文字
危機前夜の香港
燃え広がる火種
乗り越えられた分断
内向きの宣伝
ささやかな革命
鍋底の約束
無文字の標語
第2章 不協和音―ポピュラー音楽からみる香港危機
香港の歌手は奪えても
反送中運動のソングブック
香港における歌と政治
社会派ソングの台頭
ラブソングの死
北進する歌手たち
政治化時代のポピュラー文化
第3章 もう一つの前線―郊外からみる香港危機
「まさか大埔が……」
「新界」という場所
沙田ニュータウンの見た夢
新城市広場の変貌
コミュニティ化する抗議運動
第4章 嵐の中のティーカップ―ミルクティーからみる香港危機
危機と日常のあいだ
平凡な暮らしの政治化
新型コロナ禍とミルクティー同盟
ミルクティー同盟とは何だったか
象徴としてのミルクティー
第5章 乱流下の平安―娯楽復興からみる香港危機
「死」と消失の一年
文化という前線
やわらかい抵抗
また会う日まで
おわりに―香港に何が起きたのか
転がる香港に生えた苔
政治危機のあとに残るもの
民主主義の退潮後の世界のために
あとがき