目次
はじめに
1 知的障碍のある子のこころ
2 自分に[ひけめ」を感じるときーー乳幼児期
3 他者との関係性のなかでー物語を紡ぐこと--児童期
4 思春期の到来
5 自分らしく生きてゆきたい
おわりに
解題・この本がいまも生きているわけ(堀切和雅)
前書きなど
「障碍をもった子どもが成長してゆくとき、おそらくは自分はほかの人と同じではない、ということを含みこんで人間関係をつくってゆくのだろうと思います。彼らはどのような気持ちで成長してゆくのでしょう? 自分がほかの子と違うと気づくとき、思春期を迎えるとき……いったい彼らのこころや気持ちは、どんなふうになっっているのでしょうか。特に、知的な障碍のある子どもたちのこころについて、書かれた本はほとんどないようい思うのです。自分の子どもの気持ちでも、親にはわからないことが多いでしょう。ほかの子どもの例を読みながら、知的障碍のあるわが子のこころについて、親が落ちついて静かに考えることのできるようなエッセイを書いて下さい」私は編集者である堀切和雅さんに、このような依頼をうけました。
(中略)
私自身が何とかことばを用いてまとめることができた一部のケースだけを、ここに収めました。まだ、うまくことばにできないケースも、現在奮闘中のケースもたくさんあります。また、いつもここに描いたようなやりとりをしているわけではありません。何年も同じ内容が語られていた面接のある局面、ある瞬間に異次元の扉が開くように、すごい内容がポーンと飛び出してくることがあります。そういう出会いと関わりの断片の集積が、この本にあつめられているのです。(「はじめに」より)