目次
◇実践編
学校臨床の一事例 筒井亮太
学生相談での体験 川合耕一郎
精神科児童思春期病棟 福嶋 梓
精神科病棟での経験 住 貴浩
開業心理相談室 堀川聡司
リエゾン領域の場合でも 近藤麻衣
産業領域における実践 若松亜矢
発達障害者への寄り添い 浜内彩乃
在留邦人支援の実際 前川由未子
◆論考編
前提であり、達成不可能なもの 池田暁史
共感の在処 岡田暁宜
S共感とG共感 岡野憲一郎
なにもできないこと、なにかできること 木部則雄
前書きなど
● 心理臨床家がクライアントのこころに共感することは不可能なのですが、クライアントが心理臨床家に「共感された」と体験することは可能です。それはクライアントの誤解ではありません。いえ、誤解であったとしても、そこには心的な現実があります。その「共感体験」が、心理療法プロセスにポジティブな影響を与えるのです。(まえがきより)
● 人は、他者のこころを体験することも、理解することもできません。しかし、「共感した」あるいは「共感された」という幻想を共有することはできます。こころのなかの出来事に客観的な事実は存在しない以上、「共感という虚構」を共有することに真実性がない、とすることはできません。そこには心的現実が存在しています。(終章より)