目次
はじめに
序 絵巻の描かれ方・大和絵の技法
Ⅰ 『源氏物語絵巻』を読み解く
『源氏物語』登場人物系図
物語第一部 若き日の恋
1 『源氏物語絵巻』「蓬生」段
荒廃した末摘花邸に訪れた光源氏
2 『源氏物語絵巻』「関屋」段
逢坂の関での光源氏と空蝉のすれ違い
物語第二部 家庭の悲劇
3 『源氏物語絵巻』「柏木(一)」段
愛娘女三宮を見舞う朱雀院
4 『源氏物語絵巻』「柏木(二)」段
病床の柏木を見舞う夕霧
5 『源氏物語絵巻』「柏木(三)」段
薫の五十日の祝
6 『源氏物語絵巻』「横笛」段
赤子の夜泣きをあやす雲居雁
7 『源氏物語絵巻』「鈴虫(一)」段
念誦堂の女三宮
8 『源氏物語絵巻』「鈴虫(二)」段
秘密の親子の対面
9 『源氏物語絵巻』「夕霧」段
夕霧にきた文を奪う雲居雁
10 『源氏物語絵巻』「御法」段
紫上の最期
物語第三部 匂い薫る公達の恋
11 『源氏物語絵巻』「竹河(一)」段
薫の玉鬘邸訪問
12 『源氏物語絵巻』「竹河(二)」段
玉鬘の娘姉妹の囲碁とかいま見
13 『源氏物語絵巻』「橋姫」段
大君・中君姉妹をかいま見る薫
14 『源氏物語絵巻』「早蕨」段
中君の京に移る支度
15 『源氏物語絵巻』「宿木(一)」段
今上帝と薫の囲碁
16 『源氏物語絵巻』「宿木(二)」段
匂宮と六の君との婚姻四日目の昼間
17 『源氏物語絵巻』「宿木(三)」段
琵琶を弾く匂宮と中君
18 『源氏物語絵巻』「東屋(一)」段
物語絵を見る浮舟
19 『源氏物語絵巻』「東屋(二)」段
三条の浮舟の家に訪れた薫
Ⅱ 『紫式部日記絵巻』を読み解く
『紫式部日記絵巻』人物関係系図
20 『紫式部日記絵巻』五島美術館本第二段
敦成親王五十日の祝〈1〉
21 『紫式部日記絵巻』大倉家本断簡
敦成親王五十日の祝〈2〉
Ⅲ 絵巻の詞書本文
Ⅳ 絵巻解説
あとがき/絵引索引/事項索引
前書きなど
髙樹のぶ子氏推薦!
「平安時代に世間の目が向くのは素晴らしいことですが、そこに見える世界は、実際に千年昔に存在していたのかどうか。
それを確かめるには、絵巻物の情報に頼るしかありません。残された文字情報も勿論大事ですが、目から入るものは、それだけで身近に感じられるものなのです。
この時代から現代まで残されている言葉は、沢山あります。けれど、当時と今では全くの別物であることは多々あります。たとえば「簀の子」という言葉は今も使われていますが、平安時代の簀の子は、濡れ縁のような寝殿造りの外周を指しました。絵巻物を見ることで、それが簀の子であることを初めて知るのです。
私は平安時代の人々の生活を知るには、まず絵巻物を見る愉しみから始めるのが良いと思っていますが、それだけでは足りません。そこに描かれた建物や装束、日々の暮らしの物々に触れ、その名称を正しく知ることで、ようやくこの時代に近づき、味わうことが出来るのです。
この「図鑑 モノから読み解く王朝絵巻」こそ、平安絵巻への最高の案内本です。
この図鑑を片手に絵巻物を見れば、人物は動きだし、牛車はギシギシと音を立て、一枚の絵に隠された物語や人間関係をも想像させます。気がつけば平安歴史への関心も知識も、大きく膨らんでいるに違いありません。」