紹介
美しい数理論理の体系を探究した大著『プリンキピア・マテマティカ』で知られる哲学者ラッセル(1872~1970年)。しかし第一次世界大戦、第二次世界大戦での広島・長崎への原爆投下、戦後の水爆実験が彼を、反核・平和運動の激烈な実践家に変えた。
ノーベル文学賞受賞という最高の栄誉と投獄2回・教職剥奪2回という受難に引き裂かれ、数理・論理学から世界平和を実現する手段の構想に至るまで、みずからの生命の躍動にしたがうように千変万化したラッセル──。
核時代に生きる人間が想像力の裡から消し去ってはならない人類全滅の可能性に最も人間的に、過剰なまでに敏感に反応し、人々を刺激、世界を挑発した「機知と怒りの哲人」の軌跡を論理学の泰斗が描く。
目次
まえがき
序 章:美的アプローチ宣言
◆第1部──大正日本とラッセル
第1章:日本思想界のラッセル
第2章:人間ラッセル対極東
◆第2部──ラッセルの機知と怒り
第3章:機知と怒り・素描
第4章:背徳としての論理
◆第3部──核時代のドン・キホーテ
第5章:水爆愛、そして懐疑の終焉
第6章:ドン・キホーテ、立つ
◆第4部──平和運動と自己
第7章:啓発された利己心・聖なる利己心
第8章:ファウストとしてのラッセル
◆第5部──核の世界
第9章:滅亡のイメージ
第10章:戦後日本とラッセル
あとがき──フクシマのあとで