目次
【目次】
1、トーメイくんってだあれ?
2、トーメイ一族のこと
3、たったひとりの映画館
4、ビバがあくむを見るなんて
5、長いあらしの夜
6、トーメイくんも夢を見る
7、よし!今度こそ
8、とうめいでも友だちは友だち
前書きなど
作者からのメッセージ
私の好きな作家ケストナーは、彼の物語を「子どもと子どもでない人」に向けて書きました。彼のいう「子どもでない人」(ニヒトキンダー)とは、単におとなという意味ではなく、子どもの自分をおとなになっても自分のなかに持っている人のことなのです。ナチスに迫害され、自分の本を焼かれても屈しなかったケストナーは、だからこそ、子ども時代の大事な何かを失くしたおとなには辛辣な目を向けます。なぜなら、子どもの自分を忘れない人なら、権威をふりかざすおとなや、権威に屈するおとなになるはずがないからです。またあきらめや無気力から世の中に背をむけることもないはずです。
「子どもはおとなの父」とワーズワースは言いました。彼もまた子どもから学ぶという姿勢を終生保った人なのですね。
人が子どもからおとなになるのは大変なことです。子どもにもたくさんの悩みがあります。さらに思春期の葛藤を乗り越えるのは一大事業。でもずっと手放さない何かがきっとのちの人生で宝になります。トーメイくんがそんなとき手助けしてくれることを願っています。
田辺アツコジョーンズ