目次
店主の週日記
2021年3月
2021年4月
2021年5月
2021年10月
2021年11月
2022年1月
2022年2月
2022年3月
2022年4月
2022年5月
2022年6月
2022年7月
寄稿
「 それぞれの日付のかよちゃん」、 あるいは分裂した「かよちゃんたち」へ。 遠藤由実子
贋作 小鳥書房店主・落合加依子日記(抜粋) 太田靖久
裸身 3月クララ
日記をひらく 佐藤友理
「過ぎ去った日常」の劈開 ――「店主の週日記」の時間とドラマツルギー―― 柳沼雄太
あとがき
前書きなど
『浮きて流るる』と名づけたこの本は、わたしが小鳥書房店主としてnoteで書いていた「店主の週日記」の2021年3月〜5月、10〜11月、2022年1〜6月分をまとめたものです。日ごとの文字量は多くないのに思いがけず厚い本になってしまって、ちょっとびっくりしています。ゆらゆら書いた短い雑記もまとまればそれなりの厚みになる。ひとの一生も別におおげさなものではなくて、ただそんな感じなのかもしれません。
書いた日記を読み返すと、わたしの日常は対話の中でうねるようにして流れているんだなあ、と気づかされます。対話によってさざれなみが立ったり、揺れていた水面が凪いだり。時折おおきく波紋が広がるのも泡立つのも、たいていだれかのことを考えるときだったりするので、日記にも自然と名前がたくさん出てきます。ひととの関係は曖昧で、とらえどころなく海月のように漂うからこそ、その輪郭にわたしはわたしの目線から触れてみたかったのだと思います。
いいことも、よくないことも。たえまなく立ち現れるできごとに対して、ちゃんと今日も心が動くことをうれしく思いながら、毎晩、布団にもぐる前に日記を書いています。堂々とお見せできるほどかっこよくも洗練されてもいないこんな日常ですが、日記をとおして、遠くて近いだれかと声のない会話をかわすことができたなら。
(はじめに)