目次
序章 知られざるブルーナ
1章 夢のような少年時代
コラム1 うさこちゃんとミッフィー
2章 戦争の影
コラム2 ナインチェってなあに?
3章 破天荒な青年時代
コラム3 もう一度読みたい、うさこちゃんの絵本
コラム4 マティスとレジェ
4章 デザイナーとして
コラム5 シュレイダー邸
5章 ブルーナの芸術理論
コラム6 小さくても魅力いっぱいの街ユトレヒト
6章 うさこちゃんの世界
コラム7 メルシス社と日本の出版社
コラム8 ブルーナの子どもたち
7章 日本への思い
コラム9 自転車
8章 ブルーナ、未来へ
終章 今日よりももっといいものを。もっともっとシンプルに
ディック・ブルーナ年譜
ディック・ブルーナの絵本一覧
前書きなど
ディック・ブルーナを知らないという人に会っても、心配はいらない。
紙にさらさらと丸い顔と長い耳を描き、うさぎのかたちにしてからふたつの・を両目につけ、口を×にすればいい。「この絵本をつくったオランダのグラフィックデザイナー」と説明すれば、たいていの人は「ああ、あの絵の」と納得する。(中略)日本では子ども向けの絵本作家として見られがちだが、オランダでは優れた美術家の仲間入りをしつつある。ブルーナの作品はアムステルダムの国立美術館に寄託され、調査を続ける専門家がいる。とはいえ、オランダでも日本でも本格的なブルーナ研究は始まったばかりだ。知っているつもりでも、知らないことが多い。それならば、僕が今までブルーナに会って、見たり聞いたりしたことを、一冊の本にまとめておくのも、意味があるのではないか。そう思って、この原稿を描き始めた。(序章より)