目次
まえがき 実現できるかもしれないすばらしい世界がある
アントピア
0 〈アントピア〉──完璧ではないぼくたち人間のための場所
1 まずはじめに信じたい二つのこと
2 人間は誤りを冒す
3 いったい誰のための進歩なのだろう?
4 人間は交換可能な部品にすぎない
5 なぜみんなが億万長者になれないのか?
6 もっと欲しいのに手に入らない苦しみ
7 最優先すべきほんとうに必要なもの
8 言葉がなくなれば人間もいなくなる
9 世界は個人の前にひれ伏す
10 嵐が来る前に屋根を直しておく
11 だれがなにを所有しているのか?
12 人間にとってどうしても必要な8つのもの
13 人間から労働力を奪う機械への課税
14 基礎食品と眠る場所の心配をなくす
15 所得税率は一定にし、真に自由な市場を守る
16 自分のほんとうの姿を見失ってはならない
17 そのためには〝革命〟が必要だ
18 資本主義と社会主義に手綱をかける
19 労働時間を減らし、日常から飛び出そう
参考文献
著者インタビュー:自身の奥深くを見つめ直し、そこで見つけたものを共有していく
解説:同化を拒みつつ、別の世界を考える――ウォルター・モズリイについて(酒井隆史)
訳者あとがき
前書きなど
「理想を言えば、仕事はたのしいし、心地良い疲労を感じる程度に働けば、日々の生活を賄えるだけの収入が得られる。そのうえで、余暇には〝趣味〟に邁進することもできる、という状態にありたいものです。そうすれば仕事との向き合いかたにも余裕が生まれますし、ということは生活の全域にわたって無理が減りそうです。ささやかな理想というよりも、これこそがあたりまえの生活ではないでしょうか。
しかしそれがあたりまえではないからこそ、われわれは「パンのために」と頭を切り替えて日銭を稼ぎ、それゆえ仕事にやりがいを感じられない瞬間が増え、全体として汲々としながら生きていかなければならなくなるわけです。
いったい、どうしたら追いつめられることなくあたりまえの生活をしていけるのでしょう。そのためには、どういう社会を目指せばいいのでしょうか。そのありかたや、そこにいたるまでの道筋を具体的に考えるのが本書です」
――「訳者あとがき」より