目次
まえがき〜十五歳の私へ
1 事故前のこと
2 あの日 二〇一一年三月十一日から一時避難まで
3 不自然な日常 四月〜五月 避難するまで
4 「戦時中」 編入先の学校生活
5 トンネルと光
6 五年目
7 新しい旅立ち
あとがき〜私の「生き方」
解説 理科教師の孤独な闘い 川根眞也
解説 十五歳のあなたへ 野呂美加
前書きなど
まえがき〜十五歳の私へ
授業中、教室の窓から外をながめ、言いようのないさまざまな感情が入りまじりながら、ノートに「死にたい」とふるえる手で書いていたあなたは十年という月日をへて「生きる覚悟」を伝える活動をしています。
この十年をふりかえれば、十五歳のときに東日本大震災と原発事故があり、暗黒の高校三年間をへて十八歳のときにようやく、自分の経験を人に話せるようになりました。そして十九歳のときに山形から北海道に移住し、二十三歳のときに本格的に講演活動をはじめて、二十五歳の今、こうして本を書くことになりました。
あなたには十年先の未来なんて想像できなかったでしょう。生きるのがつらくて。私はあなたにまず、「生きてきてくれてありがとう」、と伝えたい。
あなたが生きることを選んで、ここまで歩んできてくれたことが、今の私にとっていちばんの贈りものです。ありがとう。今の私は幸せにくらしています。
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この本では十五歳の少女だった私が当時からこの十年間、なにを見てなにを感じてきたのか、読者のみなさんに知ってもらいたいと思っています。そして、私が今なにを希望に生きているのかを、伝えたいと思います。