前書きなど
新元号が「令和」と発表されるや、世にはちょっとした万葉集ブームが起きているらしい。大伴旅人の邸宅で、梅を題材にした和歌を詠み合った「梅花の宴」、その序文から元号がとられた。
たまたま先月、パリと東京で「万葉集」の話をしてきたところだった。直後にこんなに注目されて、万葉ファンとしては嬉しいかぎりだ。自分の名前の漢字を説明するとき、「万葉集のマンです」と言って分かってもらえる確率も、グンとアップしたことだろう。
短歌は、日記よりも手紙に似ている。日記だったら、書いて机の引き出しに仕舞っておけばいい。詩の形にして読んでもらうというのは、誰かに思いを届けたいから。つまり「万葉集」を読むということは、千年以上も前の人からの手紙を読むということ。
すごくないですか? それが残っていて、読めるなんて。
さらに、同じ五七五七七の形で、今の人たちが詠んでいるというのもまたすごい。