目次
親愛なる日本の読者の皆さまへ(マルセーラ・ロアイサ)
日本の状況を変えるための勇気に感謝を込めて(藤原志帆子)
Historia1 「ニマンエン」
Historia2 手錠
Historia3 くそったれ!
Historia4 ヤクザ
Historia5 路上と劇場
Historia6 取引き
Historia7 生還
著者インタビュー「日本はいつマルセーラを解き放つのか?」(安田浩一)
訳者あとがき(常盤未央子)
前書きなど
1999年5月16日、池袋。
私の名前はマルセーラ。3人姉弟の長女で、もうすぐ3歳になる娘をもつ21歳のシング ルマザー。南米コロンビア中西部のアルメニアという街で生まれて、五歳の頃にペレイラ
へ移り住んだ。
私は今、日本の東京にある池袋の路上に立っている。
周りには30人ほどの女性が並ぶ。メキシコ人が5人、ブラジル人2人、ベネズエラ人3 人、それ以外はコロンビアの女性たちだ。
コロンビアの様々な街から来たのだが、みんなペレイラ出身だと言いたがる。なぜなら、 男性たちの間ではペレイラ出身の女はベッドの上では激しいと思われているからだ。ペレイラ出身だと言えば、客を多く取れるし、その分、お金も稼げる——。