目次
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8 巻頭言 コミュニティ概念の拡張 山崎 亮
14 地域でペットを育てる観光の村 台湾の地域猫とコミュニティ 神庭慎次
22 動物保護と人々のつながりをつくる 高雄市燕巣動物保護施設 洪 華奈
30 動物を家族に迎えるための学びの場 無尾香蕉動物学校(台湾) 渡邊彩子
38 シンガポールのカンポンスピリッツ 自然を大切にする「村」の精神 林 彩華
46 シンガポールのアニマルセラピー 動物を介した社会課題の解決 太田未来
54 人も動物も暮らしやすい社会に ニューヨークの最前線 出野紀子
62 高齢者とペットの暮らしを支える ニューヨークの環境 藤山綾子
70 日本人の動物観の変容とコメディドッグにみる寛容な社会 西上ありさ
78 社会的共通資本としての森林資源 北海道下川町の循環型林業とコミュニティ 山本洋一郎
86 南部曲り家を拠点にした馬との新しい関わり方 平野紗矢香
94 南米の文化に生きる動物 ペルー、パラグアイ、ブラジルを訪ねて山崎 亮
連載
108 ヴィンテージ・アナログの世界 レコードは不滅③ 高荷洋一
112 動物たちの文化誌㊶ 土の中の動物たち 早川 篤
120 欧州グリーン・インパクト⑰ フランスの森林療法 遠藤浩子
前書きなど
二一世紀の日本における超長寿社会を生きる我々がヒントにすべき人間と動物の関係性はどこにあるのだろうか。キリスト教が広まる前の南米における古代文明や、その影響を受けたユートピア思想、そして過度な科学信仰や経済成長から距離を保ってきた先住民の暮らしの中に、動物を含めたコミュニティのあり方に関するヒントが隠されているのではないか。
以上のような問題意識から、本特集では人間と動物の関係について考えてみたい。紹介されるのは、台湾、シンガポール、アメリカ、そして日本の事例である。
コミュニティという概念を「地域で生活する人間同士のつながり」と捉えるのか、「動植物とのつながり」も含めるのかによって、その動物観や自然観は違ってくるだろう。本特集で紹介される事例から、コミュニティ概念の拡張が世界各地で進んでいることを感じられるだろう。
山崎亮「巻頭言」より