紹介
第1句集『鶴の鬱』(2007)、第2句集『拔辨天』(2014)に続く、現世冥界あまた知友と手に手を携えた道行第3句集。
【自選15句】
病む蝶に二階一閒を明け渡す
唐さんに
僕ですお化け煙突です薄暑です
白玉⻝(たう)ぶ若冲はんやおまへんか
北の富士勝昭樣
打出しや兩國橋は夏の橋
あふみそのみづのそこひのところてん
大振りの虹から燒(く)べて朝湯とす
鼓直さん
かの桃を⻝らひそのゝち不死となる
パンデミックの花野に天使腥(なまぐさ)し
平松麻に
燐寸箱より陽炎の手の伸びて
來歷を問はゞ播州みなし栗
すべからく
本滅ぶニッポン滅びつゝ紅葉(もみ)づ
盆の⺼なんや德兵衞はんかいな
落鮎を挵(せゝ)る女のさみしかり
帝都デマ七輪⺼下燒死體
內緖だよ。籘原定家卿のアドレス
三夕をスマホに點す秋の暮
目次
Ⅰ
春
夏
秋
冬・新年
Ⅱ
雪岱盡くし——星川清司「小村雪岱」に拠りて
ジヤンジヤン橫町に田中屋があつた日
「庭」に捧ぐ
また會はむ——悼松井純
隣人
家遠しーー平松麻に
ゴン――鬼海弘雄に
アカペラの 永田和宏歌集『置行堀』に寄せる極私的京都ラプソディ
オシリス—菊地信義さんを偲ぶ
播州――長姉君子に
備中行
ロボットと月
本滅ぶ
イカロスの杖 中井英夫生誕百周年
ぞろ/゛\と
くらかけ 天沢退二郞さんに
フクシマさん
圖體 Zũtai
ノックせよーー唐さんに
跋=高橋睦郎
栞=嵐山光三郎 仁平勝 佐藤文香 宇野亞喜良 時里二郎 村上鞆彦 星野高士 永田和宏 神野紗希 高野ムツオ 福島泰樹