目次
はじめに
【Introduction Ⅰ】千島列島とは
【Introduction Ⅱ】国際千島列島調査とは
一九九五年 国際千島列島調査 IKIP
一九九六年 国際千島列島調査 IKIP
一九九七年 国際千島列島調査 IKIP
二〇〇〇年 国際千島列島調査 IKIP
おわりに
【Appendix Ⅰ】上陸した千島列島の島々
【Appendix Ⅱ】千島列島の島々の地理と植生の大要
【Appendix Ⅲ】千島列島で見られた白花植物個体
【Appendix Ⅳ】人名にちなむ千島列島の植物
【Appendix Ⅴ】本州・北海道(北方四島を除く)にない千島列島産植物
参考文献
前書きなど
1991年にソ連が崩壊すると東西陣営の融和は一気に進み、95年前後から千島列島におけるロシアとの国際共同調査が盛んに行われた。その中で最も早い時期に行われた国際共同調査の一つが、95年から2000年にかけて行われた日米ロ三国共同による生物多様性解明のための国際千島列島調査 International Kuril Island Project(通称IKIP〔アイキップ〕)だった。
本書はこの調査に計四回、延べ100日以上参加した、一日本人植物学者の記録である。夏の深い海霧の中、千島列島を北へ南へと彷徨した記録だが、古い野帳を見直し、昔の記憶を手繰り寄せながらまとめたもので、私の「クリル・ダイアリー(千島日記)」ともいえる。
内容は、1995年、96年、97年、2000年の夏ごとに行われた千島列島調査を対象とし、日を追って記した計4回の日誌記録(ダイアリー)となっている。自然景観や植物、調査風景といった写真記録のほか、年ごとの調査船の移動ルート図も掲載したので、これらと対照しながら読み進めてほしい。
本書の中を行ったり来たり「彷徨」することで、北海道東北部の海上にある北方四島の東から、遥かカムチャツカ半島まで、長く連なる千島列島の一島一島を身近に感じてもらえたなら、これに勝る喜びはない。同時に、国際共同調査やフィールド調査の意義や、その難しさ、楽しさにも思いを馳せてもらえれば幸いである。