目次
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はじめに
第Ⅰ章 能力低下
1 子どもの能力低下
大きなケガをする子ども
友だちが作れない子ども
我慢できない子ども
2 大人の能力低下
無縁社会
情報過多社会
家庭・地域力の低下
3 学校教育の疲弊
成果教育と人間教育の狭間
教員の専門性喪失
コーヒーブレイク 先進国
第Ⅱ章 能力獲得
1 幼児期における自発性・自律性のはぐくみ
安心感・信頼感の充足
自発性のはぐくみ
自律性のはぐくみ
2 児童期における基礎的な能力の育成
主体性のはぐくみ
筋道立てて考える力の育成
人と関わる力の育成
決まりを守る力の育成
3 青年期以降における能力の獲得
想像力の獲得
調整力の獲得
忍耐力の獲得
コーヒーブレイク 幸せな子ども
第Ⅲ章 学校園・家庭・地域の新生
1 学校教育からの支援
学校経営の整備
学級経営
学習指導
生活指導
児童期における特別支援教育
2 地域・家庭教育
家庭の文化――親の養育
誇りにする地域
コーヒーブレイク 大切なのは
おわりに
前書きなど
OECDによる学習到達度調査(PISA2012)の結果によると、日本の高校生の学力は、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの三つの分野でも、過去最高の成績で、ОECD諸国においては、科学的リテラシーと読解力については一番になっています。さらに、数学的リテラシーについても二番になっています。
しかし、将来に対する自信とか、自分を肯定的にとらえるような意識が、極端に日本は低いというのです。これはどうしてなのでしょうか。
平成二六年度の内閣府の調査によると、
「女子中学生の七三・八%が「自分に自信がない」と回答、中学生全体では六〇・八%にもなり、思春期に悩み、自信をもてない中学生が浮き彫りになった」
との調査結果があります。
今後のことを考えた時、非常に大きな課題ではないでしょうか。政治やマスコミは、学力面は大きく取り上げても、こうした状態についての危機感や原因は取り上げられることはありません。
小中学校での不登校児童生徒数十一万人、引きこもり七〇万人、ニートの数は八〇万人という事実に関係があるとすれば、これは非常に大きな問題と言わざるを得ません。自信のないまま育てられてきた子どもたちは、一段飛ばしや二段飛ばしを強要されて上らされてきた階段を、上がることができなくなっているかのようです。階段を下りようとしても下りられず、うずくまっているのです。
誰もが通る青年期を見通し、それまでに育てておくべきものがあります。段差を低くするだけでは何の解決にもなりません。どのような時代においても、たくましく生きていくことができる不易な教育を、今こそ子どもたちに提供していかなくてはなりません。
(「はじめに」 より)