目次
Ⅰ気の科学/現代における気の研究の意義/日中協力シンポジウム「気と人間科学」共同覚書/気とは何か/宇宙と交感する─気の世界観─/気の思想と人間観/気の科学と人間観/気について
II 共時性をめぐって /ユングの共時性をめぐって/共時性の心理と気の考え方について/共時性の宇宙観/現代社会と共時性の問題─その歴史と将来を考える─/ユングとパウリの出会いが意味するもの─往復書簡集をめぐって─/共時性をめぐる謎─ユングと物理学者パウリの出会い─/共時性の謎をめぐる再論─『易経』とユング─/ほか
解説 定方昭夫
前書きなど
『気』 「超常現象の基礎には未分化な原始感覚としての共通感覚の問題があるのではないか」という指摘は「考えながら書き、書きながら考える人」である哲学者湯浅ならではの卓見ではないかと、高く評価したい。
『共時性』 超心理学は長らく超常現象の存在の有無の証明にエネルギーの大半を費やしてきた。湯浅はこのテーマのジャーナリスティックな取り上げ方を厳しく批判し、『共時性の宇宙観』第五節「共時性と超常現象」で次のように述べる。「超常現象を見る場合は、それが客観的事実であるかどうかという問題だけでなく、人生を生きていることにかかわる意味や価値の観点からも考えてゆく必要がある」という見方は、「人間はどうあるべきか」を考える倫理学に長らく携わってきた湯浅による頂門の一針と言うべきものである。(「解説・定方昭夫」より)