目次
訳者まえがき
編・解説者序文
本書の主な登場人物
第一章 低圧・低温実験
Ⅰ 高空からの飛行士救出実験
告発のもとになった資料
審理の経過を通じての低圧実験の解明
Ⅱ 長時間冷却実験
第二章 海水を飲料水にする実験
第三章 発疹チフス接種実験と伝染性肝炎ウイルス研究
Ⅰ 発疹チフス接種実験
Ⅱ 肝炎ウイルス研究
第四章 スルフォンアミド実験と骨移植実験
Ⅰ スルフォンアミド実験
Ⅱ 骨移植実験
第五章 毒ガス(イペリットとフォスゲン)実験
第六章 ストラスブール国立大学によるユダヤ人の頭蓋骨収集
第七章 安楽死プログラム
Ⅰ 病院や施設における精神病者の安楽死
Ⅱ 心身障害児の殺害
Ⅲ 不要民族と不要患者の安楽死における「あからさまな殺害」
Ⅳ 肺結核を病むポーランド人に対する特別処置計画
Ⅴ 大量断種と不妊のための実験的予備作業
第一アメリカ軍事法廷の判決
訳者あとがき
前書きなど
戦後五五年あまり、日本は平和国家として生きてゆくことができた。その点では、南北朝鮮、ベトナム、カンボジア、中東地区などで起こったような悲惨な戦争に巻きこまれることはなく、日本国民は概して安穏に暮してこれた。しかし戦争以外にも、人間の暗黒面の衝動は思わぬところで露呈されることがある。たとえば仙台市の病院で、点滴に筋弛緩剤を混入し、殺人事件を起こしたとされる准看護師の行為などは、ナチの軍医の人体実験を彷彿とさせるものがある。真の人間性の維持は、こうした暗黒の欲動をいかに制御するかにかかっているのであろう。
本書の生々しい記述が、そのためになんらかの参考になることを切望してやまない。
(訳者まえがき)