目次
新版の読者のみなさんへ
00 はじめに──ぼくにとってのソウル・ミュージック
01 ゴスペルの話から始めよう──ソウル前史
02 R&Bからソウルへ──レイ・チャールズ、サム・クック、ジェイムズ・ブラウン
03 モータウン──黒人の夢を乗せた都会のサウンド
04 サザン・ソウル──スタックスが作り上げた60年代の奇跡
05 ニュー・オーリンズのR&B
06 70年代ソウルのスーパースターたち──内省と成熟
07 フィラデルフィア・ソウル──都会育ちの黒人たち
08 ファンク、ロックとソウル
09 ディスコ・ブームとソウルの死
10 ヒップ・ホップの時代
11 魂のゆくえ
【CDガイド】
1 ゴスペル/R&B
2 モータウン・サウンド
3 サザン・ソウル
4 ニュー・オーリンズR&B
5 70年代ソウル
6 ファンク
7 魂のゆくえ
【DVDガイド】
【お薦めのソウル本】
前書きなど
新版の読者のみなさんへ
『魂のゆくえ』が新潮文庫の1冊として最初に出版されたのは1989年7月のことでした。ぼくにとって初めての著書でしたが、最終的な仕上げのスケジュールがきつくて過労気味になり、顔に帯状疱疹ができてしまいました。テレビの画面でもたぶん額に少し凹んでいるところが見えたはずですが、それはこの本のお陰です。
ソウル・ミュージックを知らない方のための入門書になれば、という願いはおおむね叶ったと思います。気軽に手に取れる文庫本でしたし、それなりの部数が出ました。しかし、何年か経って動きが鈍くなったら、残念ながら絶版になったのです。それからまただいぶ経ってから復刊を望んでくれる人たちがいると聞いて、ちょっと驚きましたが、やはり嬉しかったです。
〜略〜
もっとも大きく変えて新しくした部分は、やはり各章に付いているディスク・ガイドです。八九年の時点で簡単に入手できた作品が廃盤になっていたり、 逆に絶望的に入手困難だったアルバムが奇跡のようにCD化されたり、ベスト盤の企画が変わったり、買収によって配給元が変わっているレーベルが多かったり、状況が一変していたのです。お薦めするアーティスト自体にはそれほど変化はありませんが、ご紹介した点数は90年代以降の作品を中心に大幅に増やしました。
もちろん今はインターネットのおかげで、レアな作品でも根気よく探せばオークションなどで買うことができますが、読者が興味を持ったら簡単に入手できるアルバムだけを紹介しよう、という基本的な考え方は八九年と変わっていません。発売状況を再確認しながら原稿を書いていきましたが、最近の傾向として特に国内盤の旧作再発ものに関しては、最初にプレスしたものが売り切れた段階で製造中止になることが多いので、安心してお薦めしづらい面もあります。
前回はVHSやレーザー・ディスクで紹介していたヴィデオ作品は、現在DVDになりますが、これに関してはリージョン・コードというきわめてありがたくない障壁があります。日本のリージョン2のプレイヤーで問題なく観られる作品だけ紹介したつもりですが、たくさんのDVDを楽しみたいと思ったら、リージョン・フリーのプレイヤーは今や必需品だと思います。
〜略〜
さて、前置きはこのへんにして、時計の針を思いっきり戻してお付き合いください。