紹介
梢を吹き渡る風の音よ! 水平線の彼方の幻影の人よ!
あの海の果てには、大空に繋がる道がある!
大城貞俊は、詩と詩論、そして小説を書き、卑小な存在として自己を問い詰めながら、
生きることの意味を問い続けてきた。
過ぎに過ぎて、内なる視点から、他者の具体的な日常へと想像力を飛翔させ、
詩の世界から散文の世界へ飛び出す。心奥の詩の散文化である。
言葉づかいの美しさは、大城貞俊の詩人としての魂にあり、
「ニライカナイ」(神々の国)の魂でもあろう。
本作品集は、いくつもの短編を縒り合わせて、生きることの尊さ、愛のかたち、
そして沖縄の現代性を問おうとする普遍的なテーマに繋げている。
現代沖縄文学を牽引する詩人であり、作家の静かな抒情集成である。
沖縄の過去と今日を繋ぐ現代性(アクチュアリティ)を見事に集約!
目次
巻頭詩
鎮魂 別れてぃどいちゅる
加世子の村
ハンバーガーボブ
でいご村から
[解説]鈴木智之(法政大学教授・文化社会学)
あとがき