目次
1章 誕生!The Japanese Storm Chaser
嵐追跡者への道/半径30kmを駆けめぐる/眠る間も惜しい嵐のハイシーズン
2章 茨城の気候・風土に抱かれて
3章 現場より Chase The Storm!
1節 シビア・ウェザーを追う(激しくも美しい気象現象の現場から)
2節 関東から国内各地、海外へ(テレビのロケ現場から)
4章 空を見上げよう
知って、活用したい気象情報/空を見上げよう
【コラム 青木豊の明日はどっち?】
雷の交差点、らいさまおっかねぇ/暮らしに生かしたい観天望気/科学的で奥深い観天望気/わが故郷の筑波山とお天気
前書きなど
前日の予報では午後からところにより雷雨、気象レーダーを眺め、より強い降水域が映る場所を目指してクルマを走らせる。刻々と変わる雲の様子を見ながら西へ東へ、目当ての雲に近付く頃には日差しもなくなり、夜のような闇が迫ってくる。目の前には巨大な城壁のような雲、にわかに冷たい風が吹き抜け、大粒の雨が落ちてきた。轟く雷鳴と車を揺らすほどの突風、雨に混じって雹も落ちて来た。
「来たっ!スーパーセルだ!」
助手席に置いたバッグの中から急いでカメラを取り出し、嵐の様子を捕らえる。全身ずぶ濡れになりながら時に危険も伴う嵐の撮影、そんな生活を8年も続けてきた。
嵐を撮影するためには、嵐の通りそうな場所を読み、先回りをして待ち構える。インターネットで見られる気象レーダーや、風向きなど参考に雲の進行方向を探り当て、出来るだけ抜けの良い場所を選んで待ち構える。思ったよりも雲の動きが早いため、雲を追走することもあれば、逆に雲の動きが遅いために同じ場所で3時間以上待つこともある。
嵐の撮影は自然との知恵比べ、空振りで肩を落として帰ることもあれば、予想が的中して大きな達成感を味わいながら帰ることもある。
現代は科学万能と思われがちだが、自然は人智を超えたものであり、人間の予想を大きく上回っている。だからこそこんなにも夢中になり、続けていくことが出来るのだろう。嵐の魅力に取り付かれた男の日々、そしてストーム・チェイサー(storm chaser)までの道のりを、ここに書き留めておこう。同じ道を目指す人達、そして自分の夢に向かって頑張る全ての人達に読んでいただききたい。