前書きなど
ようやく、この「炊き込みご飯と味噌汁編」によって、「ルネサンスごはん」の中心となる体系が出来たように思えます。私達はこれまでの「ごはんとおかずのルネサンスごはんプロジェクト」の中で、どうすれば最も簡単に、そして興味をもって「ルネサンスごはん」を作ってもらえるかを考え続けてきました。
何と言っても日本人はずっと米を食べ続けてきました。しかし現在、その量は次第に減ってきています。それは食生活、習慣の変化、以前から比べれば驚くほどの食べ物の数があり、米を食べる回数が減るのは当然の結果だったのです。
しかし私は、私達があまり米を食べなくなったのは、日本の米が、私が子供だった頃に比べてあまりにも栄養素が欠落し、まずくなってしまったことも大きな理由の一つと考えています。私が小学生だった頃、目覚ましは台所から漂ってくる、ふっくらとした甘い香りをもったご飯の匂いでした。どんなに眠くても、空腹は切なく刺激され、我慢できずに布団から飛び出たものです。でも今の日本の米は、そのままでは食欲をそそるような匂いも、一生懸命食べさせようとするおいしさもありません。
それでも日本人は米を中心にして、栄養素を摂取するのが一番とっつきやすい方法なのです。そして楽しく嬉しい炊き込みご飯は誰でも大好きです。
「そうだ、一年分のルネサンス炊き込みご飯を作ろう」
炊き込みご飯とみそ汁だけで十分必要な栄養素が摂れ、作る人も楽しみを持って作れ、確実に健康になれるものを作り上げようと思いました。作っては食べ、作っては食べ、執拗な三年間の試作の後に、ようやく栄養たっぷり、おいしさたっぷりの炊き込みご飯46種、味噌汁40種が出来上がりました。
昔ながらのものだけでなく、アイデアたっぷりの新しいご飯とみそ汁も出来上がりました。ただ珍しさだけでなく、本当においしいものには必ず身体が必要としている栄養素が含まれているという考えのもとに、とにかくおいしさを突き詰めました。どのご飯、味噌汁をとっても、必ず子供たちから、その都度大きな歓声があがります。今まで食べることがあまり好きではなかった子供たちも、食べるごとに、意欲的になること請け合いです。皆が楽しく嬉しく、食べて元気に幸せになるための「炊き込みご飯とみそ汁編」です。
弓田亨