紹介
長年にわたり日本フランス菓子界において、その独自でわかりやすく詳細な菓子製法理論で多くのパティシエより支持を受け続けてきた、代官山 フランス菓子店 パティスリー イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ オーナーパティシエ 弓田亨が自らの創作フランス菓子のルセット本。20年来、新作オリジナルフランス菓子の発表講習会を行っている弓田亨のオリジナルレシピ250種以上の全ルセットを再度、掘り起こし、時代に合わせて作り直し書き下ろした厳選の17品。創作フランス菓子とは「心で味を表現」するものとの信念に基づいた弓田亨の菓子は常に新しい創意工夫がちりばめられており、この国に本格的なフランス菓子があまり知られていなかった頃から、日本に本格フランス菓子が根付くよう尽力し続け、日本人に美味しいお菓子を作れるようになってもらいたいという思いから製菓技術を教え続けている彼の歴史とフランス菓子への愛情が感じられる1冊。
目次
五感で創るフランス菓子
ルーロー・オ・キャフェ
豊かな食感のジェノワーズとふっくらとしたムース、クラクランの食感、様々のコントラストが楽しいコーヒーロールです。
ラ・フュージョン 混沌
抹茶とコーヒーをプラリネのムースがゆったりとつなぎます。
トゥリアノン
リカールのムースとパインをダックワーズ生地が包みます。
ショコラのムラングとパインとプラリネの甘さの中での意外な翻り
ショコラのムラングにプラリネとパインの意外な組み合わせです。
レモンの小さなざわめき
ココナッツ風味のサブレにレモンのクレームをはさみます。
フレーズィエ
あたたかい懐かしさにあふれた苺とビスキュイ、クレーム・オ・ブールのお菓子です。
暖かく身を寄せ合うマンゴーとチーズ
あたたかく仕上がったマンゴーとチーズのムースです。
モネの水蓮
カシスとショコラで表すモネの水蓮の池の水の藍さです。。
トゥランシュ・シャンプノワーズ
いつまでもおいしさと輝きを失わないドゥニ・リュッフェル氏のシャンパンのお菓子です。
ベルギービールのムース
ベルギービールと黒糖との濃密で香り高い味わいです。
プラリネとシナモンのプログレ
プラリネとシナモンの香りと味わいがムラングの歯触りに揺れ動きます。
野菜のテリーヌ
赤ピーマンのムース、ほうれん草のクレーム・シャンティイ、かぼちゃのクレーム・シャンティイをやさしい味わいのビスキュイが包みます。
スリーズィエ
グリヨットゥ種のさくらんぼの濃密な組み立てのキルシュ・トルテです。
不倫の味の一つ
ショコラと八角ういきょうのムースと、パッションの意外なトーンの組み合わせです。
タルトゥ・テ・イグレク
力強さとあたたかい膨らみに溢れた「弓田亨」のイニシャルをつけたりんごのタルトです。
やさしくあたたかいフランボワーズとミルクチョコレート
歯触り、香り、口溶け、様々のコントラストがからみあう、シナモン、ミルクチョコ、フランボワーズのお菓子です。
過ぎし日の淡き思いのグリヨットゥの氷菓
グリヨットゥ種のさくらんぼと軽いホワイトチョコレートの生クリームの、ちょっとやるせない味わいの氷菓です。
お菓子をつくる前に
温度管理と計算/材料/技術/食べごろの温度
素材(卵/バター/生クリーム/小麦粉/チョコレート/酒/ナッツ/香料/フルーツ/凝固材)
生地とクレーム(パータ・ビスキュイ/パータ・ジェノワーズ/フォン・ドゥ・ダックワーズ/ババロア/ムース/ムラング)
準備しておくもの(ポマード状バター/溶かしバター/30°ボーメシロップ/ぬり卵/型の準備)
ムラング・イタリエンヌ
パータ・ボンブ
クレーム・アングレーズ
パートゥ・シュクレ
混ぜる、泡立てる
イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのご紹介
パティスリー イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ
嘘と迷信のないフランス菓子・料理教室
お菓子屋さんが出版社
製菓材料輸入販売
直輸入食材・製菓材料
器具
エピスリー イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ企画
今すぐ習いたい!イル・プルー師範のお教室 ラ・パティスリ・ソルシエール/ブラン・エ・ブルー
イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ師範リスト
前書きなど
ごあいさつパティスリー・フランセーズそのイマジナスィオンⅠから20余年の時が過ぎました。この本は、私のパティスィエとしての向かうべき方向を自らに示し、それに向かって誰もが歩んだことのない道を切り拓きながらの20年だったと思います。この間に私の頭のなかにはさまざまの事柄が、経験が積みあげられてきました。
もうそろそろ、これを一つの体系として、表わさなければならない時となりました。
今回の本は、私の頭のなかにあるこれらのものをできる限り90%に近いものをだしてしまおうというものです。このような本をいくつか表わすなかで最終的な体系をつくりあげようと思います。
フランス的なものをつくる必然も、環境も日本には存在しません。まず自分の意識をとぎすまさせることによって、自分の心のなかにフランス的な空間をつくりあげ、精神性を通してこそ、私なりのフランス的なものが可能であるということが私のかねてからの主張でした。
そして、フランスと日本の素材の間にある、あまりにも大きな素材の物性の違いを、フランスでの素材の特性の緻密な記憶と科学的考え方によって調整しなければならないということをつねづね述べてきました。
この本のなかのお菓子はつくられた時期にかなりの違いがあります。しかし、つねづね貫かれている考えは、すべての感覚とともにお菓子をつくりあげるということです。