目次
まえがき
第一章 無からの挑戦
政治への関心/選挙応援から得たもの/杉浦武雄先生との出会い/政治への憧憬/市議への挑戦/大政治家・河野一郎/“最高得票”の誉と重責/ちっぽけな縄張り社会/河合陸郎市長の薫陶/「機を見て県議になれ」/自民党豊橋市議団結成/そして県議会へ/風穴を開けよう/牙城崩し
第二章 縦横無尽
野心/県議会議長就任/下水道施設開設に立ちはだかる難問/「負けるな!」/桑原県政から仲谷県政へ/中国江蘇省との絆/桜ヶ丘学園崩壊の危機/組合紛争のはざまで/欠くべからざる私学助成の施策/畜産振興の必要性高まる/民間社会福祉法人の魁・理事長山本孝之医師/桑原知事の怒髪天を突く/“幻の名古屋オリンピック”招致運動の裏表/参院選出馬要請、断固辞退/たらい回し全国議長会会長選に一矢/大失態、冷汗三斗の思い
第三章 夢に向かって
迫りくる市長選挙/目白の親分/後援会連合会会長、烈火の如く怒る/上村代議士への決別表明/一夜にして貼り替えられた三万枚のポスター
銀輪の桃太郎行進/一万人決起集会/市長選突入/驚くべき“予算書”/二度目の市長選挙/オレンジ一万人VSブルー二万人の大集会/第二期目のスタート
第四章 一歩ずつ
バイエル合唱団とスタインウェイ/食肉流通センター建設用地をめぐって/議論の余地なし!/第三セクターの経営責任を考える/カリオンビルと松葉公園/三遠南信トライアングル構想に託した夢/変革を求められる道路行政のはざまで/成田記念病院の礎に志あり/村田助役の粘り腰/名古屋に十億円なら東三河に五億円を/基幹病院の情けない実態/“一発回答”にこめた固い決意
第五章 世界に開かれた街を
“責め殺し”攻撃がはじまった/森を育てる自然公園の発想/モネガーデンから門外不出の睡蓮がやってきた/蛇喰い鷲と亜熱帯植物を求めて/マンモスの化石をめぐるロシアとの交渉/化石の撤去、返送の怪/国際化に相応しい街づくり/夢に描いた国際交流大学設立/日本鉄塔敷地問題/新庁舎建設と助役二人制/ソウルオリンピック開会式へ/「豊橋駅大改築」伸るか反るかの正面突破/巨額整備事業プロジェクト/路面電車が行き交う美しい街並み/港湾埋立地への企業誘致/ドイツ企業を豊橋へ/ベンツ、ワーゲンが次々に決断/日本一の自動車輸出港へ/不調に終わった「ビッグ3」デトロイト交渉/新設ごみ焼却炉への疑惑/休日夜間急病診療所の設置/技術集積都市への展望
第六章 暗 転
上村代議士の引退騒動/市議会紛糾/市長立候補降ろしの不思議な一幕/チャイナタウン構想の挫折/石礫で迎えられた福岡市長選応援演説/極寒・帯広市長選の壮絶な戦い/“豊橋人脈”の心強い支援/大事件発生/これが今日の司法警察か!/歪曲される真実/政治不信を招いた責任/無益な闘争/人生三つの転機/今、思うこと
あとがき
前書きなど
まえがき
今初夏、娘のはからいで孫たちと海外旅行に行く機会を得た。私には二度目のベルリンだった。前回は東西に分けられていた時代で、東独の中に孤島の如く壁に囲まれている緊張感の漂う時代であった。当時は私の命のあるうちに統一され、壁がなくなるなど考える由もなかった。しかし、冷戦の終焉に向かってソ連崩壊に先立ち、ドイツ統一が現実となった。
日本人の一人として、元東ベルリンの地にソニーセンターの存在を見ると、会長の出井伸之氏と面識はないが、喜びを感じる自分に気づく。幸いにして、北方領土、沖縄を除き、祖国の分断もなく終戦を迎えられたことは運が良かった。隣国の韓国・朝鮮の統一は、戦火を交えたこともあり、多くの困難が想像されるが、孫の時代には成就していることを望む。
政治は国家のみのためでなく、国民のためにあるべきことを強く感じる。
今や日本は長寿国家と言われ、寿命は九十年・百年ともなるであろう。しかしこれは人間のみが考えることで、壮大な宇宙の営みから見れば、人の一生は一瞬のまたたきに過ぎない。それゆえに、人の一生は極めて短く、その間の生きざまこそが尊いのではなかろうか。夫々の人にとって素晴らしい一生を送ったと考える人、または希望もなく絶望のみを持ち続けて人生を果てる人もあるだろう。私も七十九歳、死は目前にあるのかそれとも与えられた天命を全うできるのか、今もって悟れずにいる。この年齢になるまで相当の数の人々が下積みから這い上がって、それなりの夢を具現化していくのをみて来た。例外なく「出来る」という強い信念の持ち主の人々であった。私も与えられた天命を最善に終わりたいと念じ、過ぎし時を今一度考え、将来に何をしておくべきか苦慮しながら、過去の記憶を蘇らせ筆をもつ。
幼年期、少年期、そして大学を含む学生時代、学徒動員の軍隊生活、また議員および市長時代の海外派遣視察旅行、その他諸々の件は、別に改めて纏めて記したい。ここでは、私がなぜ地方政治に心を動かしたか、このことを主とした心の経緯そして経過の実動を中心に記す。従って、期日・数値等はなるべく排し、出来うる限り平易な文章に心がける。
一時代の中で愛する郷里の政治、行政に身を置き、働くことができたことに感謝している。個人の考え、そして信念のままに行動し、時に間違いもあり種々の御批判もあると思うが、私でなく別人が司ればいかなる郷土が存在したかは想像も無い。自慢したい気持ちも多いが謙虚に省みることが私にとっても重要であると考え、それらをありのままに記述することで正しい歴史観を導き、後人の参考ともなれば幸いである。
真夏の夜空に輝き光る無数の星の中、一瞬に消え去る流星のごとく、私の一生も消滅していくであろう。
著 者