目次
まえがき
第1章 近代の水産会社と魚市場
第1節 近代の水産会社
第2節 近代の魚市場
第2章 近代捕鯨業の発展と経営
はじめに
第1節 捕鯨業の概要
第2節 東洋捕鯨(株)-日本捕鯨(株)-日本水産(株)の捕鯨事業の展開
第3節 土佐系-林兼商店系の捕鯨事業
第4節 極洋捕鯨(株)の設立と南氷洋捕鯨への進出
第5節 北洋捕鯨
おわりに
第3章 林兼-(株)林兼商店の発展軌跡
はじめに
第1節 林兼の鮮魚運搬と朝鮮進出
第2節 林兼の体制と漁業・関連事業への進出
第3節 (株)林兼商店の誕生と事業の多角化
第4節 昭和恐慌以後の事業の再編
第5節 戦時体制下の(株)林兼商店
第6節 海洋漁業の統制と西大洋漁業統制(株)、(株)林兼商店
おわりに
第4章 共同漁業(株)-日本水産(株)の躍進
はじめに
第1節 汽船トロール漁業の生成と共同漁業(株)の設立
第2節 第一次大戦後の汽船トロールの復興と共同漁業(株)
第3節 事業の多角化とトロール部門の強化
第4節 昭和恐慌と日産傘下での事業の拡充と統合
第5節 戦時体制下における日本水産(株)
第6節 戦時統制の強化と日本海洋漁業統制(株)
おわりに
補論 日産財閥の形成と水産業への進出
第5章 母船式カニ漁業と共同漁業(株)-日本水産(株)
はじめに
第1節 母船式カニ漁業の概説
第2節 母船式カニ漁業の勃興と共同漁業(株)
第3節 企業合同と生産統制
第4節 日本合同工船(株)の設立と統制
第5節 戦時体制下の日本水産(株)北洋部
おわりに
第6章 共同漁業-日本水産系の水産加工・製氷冷蔵事業の展開
はじめに
第1節 共同漁業系の水産加工・製氷冷蔵事業への進出
第2節 合同水産工業(株)-日本食料工業(株)の設立と事業展開
第3節 戦時統制下における日本水産(株)冷凍部と日本油脂(株)の事業
第4節 大戦下の帝国水産統制(株)の設立と事業
おわりに
第7章 共同漁業-日本水産系の水産物流通・販売
はじめに
第1節 山神組と第1次日本水産(株)の水産物流通・販売
第2節 第2次・第3次日本水産(株)の水産物流通・販売
第3節 (株)共同水産販売所-共同水産(株)の水産物販売
第4節 戸畑魚市場(株)の設立と事業展開
おわりに
第8章 佐世保市魚市場の近代化と卸売会社の経営
はじめに
第1節 市営化以前の佐世保市の鮮魚流通
第2節 魚市場の市営化と(株)佐世保魚市場
第3節 佐世保市中央卸売市場の開設と動向
おわりに
第9章 大阪魚市場の魚問屋・卸売会社の事業展開
はじめに
第1節 大正後期・昭和初期の大阪魚市場と魚問屋
第2節 中央卸売市場の開設に向けて
第3節 中央卸売市場の開設と大阪魚(株)の事業
第4節 鮮魚の価格・配給統制と荷受機関の再編成
おわりに
第10章 大阪市の塩干魚市場と問屋・卸売会社の事業展開
はじめに
第1節 大正後期・昭和初期の大阪市の塩干魚市場と問屋
第2節 中央卸売市場の開設と大阪海産物(株)の事業
第3節 塩干魚の価格・配給統制と荷受機関
わりわりに
前書きなど
農林水産業のうち水産業は、企業経営が叢生したこと、その興亡が著しいこと、吸収合併を通じて巨大な会社が形成された点で特徴がある。魚市場・魚問屋についても同様、紆余曲折を経て近代的流通システム・会社が確立する。これら水産企業の経営史研究は至って少なく、企業経営の内容(資本、技術、労働力、市場、立地、職制、事業、経営)と動向、及びそれが水産業の資本主義発達史における意味を考察すべく本書を執筆した。
対象とするのは、漁業だけでなく、漁獲物の流通販売、水産加工、関連事業を手掛ける大手水産会社と流通の近代化を先駆けたか、中央卸売市場となった魚市場の問屋・卸売会社である。本書は近代における水産会社・魚市場会社の経営史に関する論考10編と補論1編からなる。
本書が対象とする時期は、水産会社が発達し、経営の近代化(資本主義化)が進行した明治末ないし大正期以降となる。時期区分は、日本資本主義の発達史に応じて、日露戦争による植民地・漁業権の獲得と戦後の投資ブーム、第一次大戦期の活況と大戦後の不況の連続、昭和恐慌による打撃と満州事変以後の軍事国家化と軍需インフレ、日中戦争後の戦時統制期に分けることができる。戦時統制期も価格・配給統制の前後で細分される。ただ、水産会社は資源=漁獲変動、技術革新、水産政策、水産物の商品特性などによって日本資本主義発達史とは時期区分がズレたり、表われ方が違ったりするので、画一的ではない。